サガン鳥栖の下部組織が快進撃の理由。バイエルン移籍の福井太智を育てた土壌とは (3ページ目)
試練に応えて、福井はプレーの幅を広げていった。もともとFWだけに、楽しむように戦闘力を高めっていった。
「太智が高1の秋、うまい選手ではあったんです。でも、"さばき屋さん"で、守備もタフにできない。佐賀東高校と練習試合をしたんですが、タフにプレーできないのが、本人も悔しかったんでしょうね。終わったあとに、ひたすら何本もダッシュをしていて、途中でバタンと倒れた。やめさせようとしても、やめなかったです。その後、(コロナ禍により)冬になったクラブユースで、主力のケガもあって左ウィングで出したら、彼は躍動した。秋から冬にかけて一気に突き抜けたというか、優勝できたこともあって印象的に覚えています」
田中監督は優しい目で言った。最近は練習でも、不意に胸が熱くなることがあるという。選手が頑張る姿を見ていると、どうにか成長させてあげたい、と思うのだ。
福井は、そういうチームでサッカーボールを蹴って腕を上げた。
U-18の練習場だけでなく、U-15の練習場も鳥栖市内に整備されることが決まっている。アカデミーは新時代を迎えつつある。
いつの間にか夜の帷が落ちた練習場では、空気が冷えてきたが、選手たちの熱気は増していた。
【著者プロフィール】小宮良之(こみや・よしゆき)
スポーツライター。1972年、横浜生まれ。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。
★中村俊輔選手との鼎談全文(合計33ページ)収録★
↓↓↓↓↓↓↓↓
webスポルティーバの大人気対談
「中村憲剛×佐藤寿人 日本サッカー向上委員会」が一冊の本になった!
書籍名は「ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話」。
ふたりが願う「日本サッカーのさらなる向上」を実現するため、さまざまなテーマに沿って対談形式で本音をぶつけあう。また、カタールワールドカップ直前企画として「ふたりの思い出のワールドカップこぼれ話」、さらにはふたりが熱望した元日本代表MF中村俊輔選手を招いて豪華な「スペシャル鼎談」も収録。プロとして20年近く現役を続けられたふたりの言葉は、「サッカー以外の人生」にもきっと役に立つ。
<中村憲剛さんからのコメント>
「長く第一線でやれたのには理由があります。その要因を紐解くことは、サッカーだけではなく、おそらくサッカー以外の社会や組織にも当てはまること。その『ヒント』になるようなものが、この本には詰められていると思います」
<佐藤寿人さんからのコメント>
「僕らはスポーツの世界で経験してきたことを話していますけど、それをうまく変換して『自分事』として捉えていただき、それぞれの環境で生かしてもらえたら。サッカーをやってきたなかで学んだことは、人生にも役立つんです」
【書籍名】 ケンゴとヒサト サッカー人生以外も役に立つサッカーの話
【発 行】 集英社
【発 売】 2022年11月14日(月)
【定 価】 本体1,700円+税
◆ご予約はこちらから>> 「集英社・書籍案内」 「Amazon」 「楽天ブックス」
【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
フォトギャラリーを見る
3 / 3