「スター選手はいない」岡山学芸館が高校サッカーの頂点に立った本当の理由。堅守が武器、は表向きの姿

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 ともに初優勝を目指す顔合わせとなった今年度の全国高校サッカー選手権大会決勝は、岡山学芸館(岡山県)が東山(京都府)を3-1で下し、初の日本一の座に就いた。

 前半25分に相手のオウンゴールで先制した岡山学芸館は、前半44分に一度は追いつかれるも、後半52分にMF木村匡吾のゴールで勝ち越し。その後は東山の反撃を粘り強い守備でしのぐと、後半85分にも木村が追加点を決めてダメを押した。

「選手たちが初戦から一戦一戦成長し、集中をきらさずに持っている力を発揮してくれた」

 チームを率いる高原良明監督がそんな言葉で称えた岡山学芸館の初優勝は、同時に、岡山県勢として初の全国制覇でもあった。

第101回全国高校サッカー選手権を制した岡山学芸館第101回全国高校サッカー選手権を制した岡山学芸館この記事に関連する写真を見る とはいえ、101回を数える選手権の歴史に新たな1ページを記した優勝校も、高原監督の言葉を借りれば、「スター選手はいない。(年代別日本)代表経験がある選手もいないし、ジュニアユースのとき(中学時代)には2、3番手だった選手が多い」。

 有り体に言えば、小粒なチームである。

 だが、裏を返すと、そんなチームが全国の頂点に立ったからこその意味は大きいとも言える。

「チームがひとつになってやれば、強敵でも倒せると証明してくれた」とうれしそうに語る高原監督が、「(岡山県内の)少年団にも、岡山からでも日本一を獲れると夢を与えられていたら最高」と話すとおりだ。

 今大会の岡山学芸館をひと言で表現するなら、"高校サッカーらしい好チーム"ということになるだろうか。

 突出した選手はいないが、各選手の技術レベルは総じて高く、誰もがハードワークをいとわない。そんなチームが勝利を重ねるごとに自信をつけ、たくましさを増し、ついには頂点にたどり着いた。

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