Jリーグに新風を吹き込んだサガン鳥栖監督に聞く。「残留という言葉は一回も使ってない」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 photo by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「それをやるならこの職業をやらない」

――マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、決戦前に「勇敢に、とても勇敢に、さらに勇敢に戦え」とリスクは承知で、とにかく勇敢さが自分たちのサッカーをやる条件だと伝えています。

「僕もミーティングでは、ほぼ毎回『勇敢さ』は使っています。それも同じ定義で。自分はリスクを取れ、とは言わないです。リスクとは思っていないし、それをやらないと点がとれないし、ファン・サポーターも喜ばない。点を入れられて負けることがいわゆるリスクですが、その考え自体、このチームには持たせていないです」

――敵地での川崎戦では、前半に猛攻を浴びて5バックで凌ぎ、後半になって4バックに戻しました。あえて殴り合いを選び、最後は4-0で屈しましたが......。

「うまくかわして誤魔化したとしても、次につながることはないなと思いました。たぶん今シーズンは2度ほど(似た展開が)あるんですけど、『選手に甘えさせない』って思っていて、それが一般的に言う、リスクをかけているところかもしれません(笑)。でも、戻したのは、そのほうが勝てる確率が高いと思ったからで、あとは選手の成長もしながら勝てるし、もっとやれると思ったんです」

――グアルディオラも「10分間だけでも長いボールを蹴って相手に預けたら、自分たちよりボールをつなぐ質が低い敵は手をこまねくだけで勝手に乱れる」と言われても、「フィーリングが許さない」とやり方を変えません。

「ほぼ一緒ですね。それをやるんだったら、僕はこの職業をやらないって思っています」
(つづく)

Profile
川井健太(かわい・けんた)
1981年6月7日、愛媛県生まれ。現役時代は愛媛FCでプレー。指導者としては環太平洋短期大学部サッカー部監督を皮切りに、愛媛FCレディースヘッドコーチ、日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチ、愛媛FCレディース監督、愛媛FC U‐18監督、愛媛FC監督、モンテディオ山形コーチを経て、今シーズンからサガン鳥栖監督に就任した。

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