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ガンバ大阪のパトリックが熱心に日本語を勉強する理由。「やっぱり自分の口で直接コミュニケーションを取りたい」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

「息子は、自分のことも日本人だと思ってるよ」

 そしてもうひとり、パトリックに日本語を教えてくれるよき先生がいる──11歳の息子、フェリペくんだ。

「(彼は)ブラジルで生まれたけど、1歳で日本に来たので、幼稚園から小学校までずっと日本よ」と、ここでパトリックは日本語で説明し始めた。

「日本語も普通にずっと喋ってるね。友だちも日本人だし、自分のことも日本人だと思ってるよ。いずれ、日本のパスポートを取りたいみたいだね。そしてガンバのスクールでサッカーを頑張ってるから、プロや日本代表になれればいいね」

 パトリックがSNSに投稿している動画でも確認できるように、フェリペ君は将来が楽しみな少年だ。その年齢にして身長は160cm近くあり(足のサイズは27cmだというから、もっと大きくなるはずだ)、ガンバのアカデミーで9番をつけている。

「彼は今年、すべての試合を含めると、100ゴールくらい取っていると思います。ピッチでは自分と同じような動きをするので、観ていて面白いです。たとえばコーナーキックの時、ただ立っているわけではなく、少し下がってから走り込んで頭でボールを叩き込んだり。そういうのを観ると、嬉しいですね。

 でもあまり褒めすぎないようにしています。天狗になってしまってはいけないので。『今日の試合どうだった?』と訊かれたら、『よかったけど、もっとゴールできたんじゃないかな。こういうところを伸ばせば、もっとよくなるよ』と言うようにしています。

 それにガンバの監督とコーチがいるので、練習や試合で自分は一切口出ししません。家ではアドバイスをしたり、一緒に考えたりしますけどね」
(後編「日本サッカーを理解し頑張ってきた10年」へつづく>>)

パトリック
Anderson Patric Aguiar Oliveira/1987年10月26日生まれ。ブラジル・アマパー州マカパ出身。ガンバ大阪のFW。2007年にパイサンドゥでプロデビューし、複数のクラブでプレー。2013年にアトレチコ・ゴイアニエンセから川崎フロンターレに移籍し初来日すると、その後ヴァンフォーレ甲府でもプレー。ブラジルに一時帰国後、2014年の途中にG大阪へ入ると、このシーズンのチーム3冠に貢献した。2017年途中にサンフレッチェ広島へ移籍し、2018年は得点ランキング2位の活躍。2019年途中にG大阪へ復帰し、今年は来日10年目を迎えた。

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