ガンバ大阪のパトリックが熱心に日本語を勉強する理由。「やっぱり自分の口で直接コミュニケーションを取りたい」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

「レストランで注文できるとすごく嬉しい」

 筆者にとってポルトガル語が難しいように、パトリックにとっても日本語は簡単ではない。それでもモチベーションが落ちることはないようだ。

「とくに難しいのは、が、を、の、て、に、は(などの助詞)や、接続詞。つけかたを間違えたり、つけ忘れたりすることはしょっちゅうありますが、周りのみんなはそれでも理解しようとしてくれます。

 やっぱり自分の口で、チームメイトやサポーターをはじめ、日本の人々と直接コミュニケーションを取りたいんです。あと現役を引退したあとも、日本で仕事をしたいと考えているので、今後にも役立つと思っています。

 勉強法としては、動画の授業をひと通り買って、時間のある時にそれを見て学ぶのがひとつ。もちろんノートもつけていて、今では4冊くらいが日本語で埋まっています。あと最近、日本語の先生とのプライベートレッスンを始めることができて、すごく助かっています。その先生はポルトガル語を少し話しますが、基本的には日本語だけでコミュケーションをするようにしています」

 最近では、少しずつ上達してきたことを感じる時もあるという。語学を習得している際の特別な喜びは、同じように学んだことがある者にはよくわかるものだ。

「ひらがなとカタカナはすべて読み書きができるようになり、たとえばレストランでメニューを読めて注文できた時は、すごく嬉しいですね。もちろん、日本人の誰かと直接自分でコミュニケーションができた時や、新しい言葉を覚えた時も。

 さっきも、ちょうどロッカールームで仲間とサッカーの映像を観ている時にみんなが『おかしい、おかしい』と言っていて、その意味がわからなかったので、まず携帯にメモしてあとで調べました。『今のプレーはおかしい』というのが、どんな意味なのか、今ではわかっています。

 練習や試合でも日本語を使うようにしていて、たとえば早くパスをもらいたい時に『早い、早い』と言ってしまっていたら、そういう場合は『早く、早く』と言うんだよと、チームメイトが訂正してくれたりします。とくにタカシ(宇佐美貴史)、ヒガシ(東口順昭)、シュウ(倉田秋)とは、日本語で話すことが多いです」

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