中村憲剛と佐藤寿人に教えてもらった。プロはどのような視点でサッカーの試合を観ているのか? (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 そうなんだ。俺は勝った時はウキウキで観てたけど(笑)。

佐藤 勝った試合もそうですし、自分のゴールシーンを見返すと、それで満足しちゃうじゃないですか。だから、なるべく過去のものとして、観ないようにしていました。

中村 求道者だな。

---- スーパーゴールでも?

佐藤 あまり見返さなかったですね。ハイライト映像とかで自然と目に入ることはありましたけど。やっぱり、ゴールはうれしいじゃないですか。その気持ちが強すぎると、そっちに振れていっちゃうんですよね。達成感が大きくなりすぎると、成長できない気がして。

中村 真面目か!

佐藤 ストライカーは点を取り続けないといけないですから。

中村 そうなんだよな、FWって。僕は中盤の選手なので、ビルドアップも含め、どの道筋でゴールまで行けたのかを毎回見返していました。

 相手の前線の守備との兼ね合いでどこに立てばよかったのかとか、中盤から先に行ったあとはどうやって崩したかとか、その時に相手の守備がどうだったのかも全部観て、設計図みたいなものを増やすという作業をずっと繰り返していましたね。そうすると再現性が高くなるから、ある程度オートマティックにやれるようになるんです。

---- 先ほど、いろんなところにヒントが転がっていると言っていましたが、特に参考にしていたチームや選手を挙げるとすれば?

中村 バルサや(マンチェスター・)シティ、リバプールなど基本的にはボールを握って攻めるチームを観ていましたね。自分たちがそうだったので、カウンターがメインのチームよりも主導権を握るチームの試合をよく観ていました。

佐藤 僕はチームよりも個人にフォーカスして観ていました。ただ、テレビだと全体が観られないじゃないですか。画面に映ってない時にどういうふうに動いているのか、どれくらいの距離感でボールに対してプレーしているかを知りたいのに、わからないことがけっこう多かったので、そこはジレンマでしたね。

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