中村憲剛と佐藤寿人に教えてもらった。プロはどのような視点でサッカーの試合を観ているのか? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- そうした作業を繰り返すと、ピッチ上でも映像のように俯瞰で見えるようになってくるんですか。

中村 脳内に残像として残るというか、データが入ってくるので、それがピッチ上でもぼんやり見えてくるわけです。もちろん相手を分析したうえで試合に入っているので、どこが空きやすいのかというのは、あらかじめわかっていることもあります。ただ、フロンターレ相手には引いてくるチームが多かったので、その分析があまり参考にならないこともありましたけど。

---- 相手を知ることが重要なんですね。

佐藤 僕も憲剛くんも、子どもの頃は簡単に情報が手に入らなかったじゃないですか。だから、映像を観ることに対する欲求が強いと思うんですよね。そこから得られる情報がプレーに大きな影響を与えることを実感していたので、いろんな映像を観てきたわけです。

 憲剛くんのように俯瞰で見るためには、ピッチ上だけの視点では成り立たないですよね。いろんな試合を観ながら、こういう位置にボールが入った時には、どこにスペースが生まれやすいのか。そういった情報が事前に入っていると、より確信を持ってプレーできると思うんです。とはいえ、憲剛くんほど俯瞰で見える選手は、なかなかいないですけどね。

---- 試合の映像はどのタイミングで観ていたんですか。

中村 僕は試合のあったその日に観ていましたよ。どうせ、気持ちが高ぶっていて眠れないので。負けた試合を観るとイライラが募って、さらに眠れなくなるという(苦笑)。でも、意外と負けた試合のほうがヒントがあったりするので、苦しいですが観ていましたね。

佐藤 僕も負けた試合はしっかりと観ていました。負けた試合のほうが、自分が悪かった部分が多く出ますから。こういうふうにボールを持ったから取られたんだとか、こういう角度で受けたからいい形でつながらなかったとか。どうしてもFWはミスがわかりやすく出るので、負けた時のほうがよく観ていましたね。逆に勝った試合はあまり観ませんでした。

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