中村憲剛と佐藤寿人に教えてもらった。プロはどのような視点でサッカーの試合を観ているのか? (2ページ目)
佐藤 僕もそうですね。J2やJ3も観ていたんで、下のカテゴリーの選手の名前もけっこう知っていましたし、その選手のキャリアまで頭に入っていましたよ。
---- どういう目線で観ていたんですか。
佐藤 点を取るためのヒントが落ちていないかなと。カテゴリーを問わず、面白いストライカーはいますから、彼らのいい部分を少しでも吸収しようという想いですね。もちろん、ヨーロッパのトップの選手のプレーが一番参考にはなりますけど、若い選手からも学べる要素はたくさんありますから。
中村 すべてが学びなんですよね。寿人が言ったように、どこにヒントが転がっているかわからないから、レベルやカテゴリーにかかわらず、すべての試合を観ていましたよ。
佐藤 僕は憲剛くんほど、対戦相手の全体のプレーまでは観ていなかったですね。極端な話、自陣ゴール前まで持ってこられた時は何もできないので、そのチームが攻めている映像は観ても意味がないんです。
僕の場合は「対戦相手のゴール前で何ができるか」に特化していたので、そのチームの失点シーンやウイークを探すことを意識していましたよ。だから、ポジションによって視点はまったく違うんだなと。
中村 さすがはFW。
佐藤 ただ、やっぱり映像を観るのは大事で、練習でチームメイトとコミュニケーションを取る時に「何分のあのプレー」という感じで具体的な言葉があると説明しやすいので、コミュニケーションツールになるんですよ。
でも、チームメイトがその映像を観ていなかったりすると、会話のノッキングが起きますよね。映像を観ていない選手は試合の記憶がなかなか残っていかないので、積み重ねや修正が難しいと思うんですけどね。
---- 実際のプレーと、映像で観る自分のプレーに、ギャップを感じたことはありますか。
中村 もちろんギャップもありますし、イメージどおりの時もあります。だから、映像を観るのは答え合わせをしているようなものですね。
あの時になんでミスをしたのか。映像を見返すと、全然首を振ってなかったなとか、立ち位置が悪いなとか、身体の向きが悪かったんだなって修正箇所が見えてくる。次はそれをしないように立ち位置を変えてみようとか、身体の向きを意識してみようとする、それが自分の引き出しになっていくんですよ。
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