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J1残留争い、危険域内にいるのは8チーム。各クラブの調子を「上がり目」「下がり目」「横ばい」に分けてみると? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

監督交代は吉と出るのか?

 対照的に、どうにも苦しい流れを変えられないのが、G大阪と磐田である。

 両クラブはともに、新監督を迎えて今季に臨んだという点で一致する。G大阪の片野坂知宏監督、磐田の伊藤彰監督に期待されたのは、すぐに結果を出すことよりも、長い目で見たチーム作りであり、自らボールを握ってゲームを進めるスタイル固めだったに違いない。

 だからこそ、なかなか結果が出ず、下位に低迷してもなお、我慢してチームの指揮を託してきたのだろうが、いよいよJ2降格の危機が目前に迫り、解任に踏み切らざるを得なくなったというわけだ。

 そこには当然、苦渋の決断があったとしても、長期的視野に立って迎えたはずの指揮官を結果的に1シーズンもたずに解任。しかも、G大阪は松田浩監督が、磐田は渋谷洋樹監督が新たに就任するも、初戦はいずれも黒星スタートと、即効性が期待された"ショック療法"も残念ながら結果に結びついていない。

 このまま名も実も失うようなことになれば、あまりにも痛いシーズンとなってしまうだけに、両クラブにとっては踏ん張りどころである。

 一方、残る北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡、京都サンガ、湘南ベルマーレは、監督を代えることなく残留争いを乗り切る構えを見せている。

 この4クラブに共通するのは、シーズンを通して志向するサッカーを貫いていること。だからだろうか、それが必ずしも結果につながるわけではないとしても、内容自体はそれほど悪くない。残留争いの最中にあっても監督交代という手を打たないのは、内容に対する相応の評価があるからだろう。

 あえて現在のチーム状態を区別するなら、上がり目の湘南、下がり目の京都、横ばいの札幌と福岡、ということになるだろうか。ただ、いずれも試合内容は悪くないだけに、ひとつの勝利をきっかけに残留争いを一気に抜け出す可能性を秘めている。

 以上が、現時点で11位以下にいる8クラブの現状だ。簡単にまとめると、状態が上向いてきた清水、神戸。低空飛行が続くG大阪、磐田。よくも悪くも安定している札幌、福岡、京都、湘南、といったところだろう。

 しかしながら、それぞれが置かれた状況に多少の違いこそあれ、いずれもが決定打には欠ける。どのクラブもまだ安心できる立場にはなく、先を見通すことは難しい。

 今季のJ1残留争いは、1試合ごとに目まぐるしく順位を入れ替えながら、最後まで混戦状態が続くことになりそうだ。

【画像】日本代表のユニフォームを着た乾貴士(2019年ボリビア戦)

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