産業としての日本サッカーは想像以上の成長。日韓W杯から20年でこう変わった (2ページ目)
順調に増えていった総入場者数
クラブが増えてスタジアムが整備されたことで、Jリーグ全体の入場者数も増加した。
Jリーグブームが去った直後の1997年。当時17チームで構成されていたJリーグの全公式戦の年間総入場者数は346万4906人に落ち込んでいたが、そこから少しずつ回復傾向を見せると、2002年W杯の前年から2005年にかけて急回復。1999年にJ2リーグがスタートしたこと、2005年にJ1リーグが16チームから18チームに増えたことも影響し、2005年には857万9996人にまで年間総入場者数を増やしている。
もっとも、その後はサッカー人気の浮き沈みもあり、クラブ数が増えても入場者数が頭打ちになっていた時期もあった。ただ、コロナ禍前の2019年にはJリーグの年間総入場者数は1141万4998人を記録。2017年からJリーグが取り組んでいたイレブンミリオン・プロジェクト(年間1100万人)の目標を達成するに至った。
ちなみに、J1の1試合平均入場者数が2万人を突破したのも2019年が初めてのこと。3部リーグ制になって年間試合数が増えたため、Jリーグの人気を示す数値としては平均入場者数が重要になるが、それでも、年間にのべ1100万人以上の人が実際にサッカーの試合をスタジアムで観戦したことは、日本サッカー界にとって見逃せない事実と言える。
そんな拡大と成長を辿ってきたJリーグだが、財政的にはどのように変化したのか。クラブ単位ではなく、リーグとして見た場合は、実は長く苦戦してきた歴史がある。
約89億円でスタートしたJリーグの収益は、加盟クラブが10から28に増えていた2002年の時点で約111億円に。その後も長期にわたって増減を繰り返し、3カテゴリー計53クラブに拡大していた2016年の時点においても、約136億円にとどまっていた。
事業規模が急拡大したのは2017年のこと。DAZNとの契約により、公衆送信権料(テレビ・ラジオ放送権、インターネット権など)収入が3倍以上も増えたことで、リーグとしての収益を約273億円に急拡大させると、物議を醸した2ステージ制とチャンピオンシップを2年で打ち切りにすることを決定。直近2020年の収益も約286億円と、高水準を維持している。
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