産業としての日本サッカーは想像以上の成長。日韓W杯から20年でこう変わった

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

日韓W杯20周年×スポルティーバ20周年企画
「日本サッカーの過去・現在、そして未来」
数字で見る2002~2022

 2002年日韓W杯から20年もの年月が経過した。その間、日本サッカー界を取り巻く環境も、当然ながら大きく変わっている。

 この20年を振り返れば、予想以上に成長した部分もあれば、遅々として成長できていない部分も見受けられる。しかし、大枠で見れば、紆余曲折はあったものの、日本サッカー界は20年前に想像していた以上の成長を遂げてきたと言っていいだろう。

 そのなかで、最も顕著な変化として挙げられるのがJリーグを取り巻く環境だ。

 たとえば、2002年当時のJリーグ加盟クラブは、J1が16クラブ、J2が12クラブ。その経営規模の大小は別として、計28チームがプロサッカークラブとして存在していたが、現在はJ1が18クラブ、J2が22クラブ、そして2014年にスタートしたJ3は18クラブと、計58クラブに拡大。この20年で、Jリーグは30クラブを増やしたことになる。

 しかも、20年前のJリーグ加盟クラブは19都道府県に限られていたが、現在は40都道府県に広がった。現在、日本全国でJクラブが存在していないのは、福井、滋賀、三重、奈良、和歌山、島根、高知の7県しかない。毎年のようにJ3加盟クラブが増えている現状からすれば、数年後には日本全国を制覇する勢いだ。

 また、Jリーグ拡大の副産物として、サッカースタジアムも日本全国で増えている。

コロナ禍を経て、スタジアムに観客が戻ってきたコロナ禍を経て、スタジアムに観客が戻ってきたこの記事に関連する写真を見る Jリーグが産声を上げた1993年には、ホームスタジアムとしてのサッカースタジアム(球技場含む)は、カシマサッカースタジアム、三ツ沢総合公園球技場、日本平運動公園球技場の3スタジアムしかなかった。だが、現在は27クラブが陸上トラックのないスタジアムをホームスタジアムとして使用。2020年にオープンした京都府立京都スタジアム(サンガスタジアム by KYOCERA)のように、多目的に使用できるモダンなサッカースタジアムも増えている。

 思い起こせば、2002年W杯を開催するにあたり、全10会場のうち長居陸上競技場を除く9スタジアムが新築もしくは改築されたが、そのなかでサッカースタジアムは、埼玉スタジアムと改築されたカシマサッカースタジアムしかなかった。それを考えると、Jリーグの拡大によって、確実にインフラ整備が進んだと見ていいだろう。

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