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Jリーグ最高の守護神スウォビィクがGKを始めた少年時代を語る。「横っ飛びしてボールを弾いた時は、本当に気持ちよかったな」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

15歳でアカデミーの名門に

 ある日、そんなクバ少年に、一緒にプレーしていた兄がプレゼントを持ってきた──キーパーグローブだ。

「『そんなに好きなら、GKを目指したらいいじゃないか』と兄が言ってくれてね。初めてグローブをしてゴール前に立った時のことはよく覚えている。チームでひとりだけ手が使えて、ほかの選手とは違う動きができるのがうれしかった。横っ飛びしてボールを弾いた時は、本当に気持ちよかったな」

 GKを志す人は、ちょっと変わった人が多い──この競技で古くから言われるクリシェだ。スウォビィク、君はそんな風には見えないけれど?

「確かにそう言われることもあるよね」とスウォビィクは笑う。「僕は普段は落ち着いているほうだと思うけど、ひとたびピッチに入るとライオンになる(笑)。ネコ科動物のごとき反射神経でボールに反応し、百獣の王のように勝利を追い求めるんだ」

 天職のポジションを得て、内に宿した闘争心に火が点いた。そこからはゴールを守ることに全精力を傾ける日々が続き、15歳の時には親元を離れてアカデミーの名門に入寮。MSPシャマトーイという育成組織では、ポーランド代表でも指導していたコーチに鍛えられ、レベルの高い仲間たちと切磋琢磨する生活を送った。

「そこは自宅から600kmも離れた場所にあったから、荷物をまとめて両親にひと時の別れを告げるのは辛かった。でもそのおかげで、ものすごく成長できたよ。僕にとって最初の大きな転機だったね。

 そこから巣立っていった選手には、現在ウェストハム(イングランド)でレギュラーを張るウカシュ・ファビアンスキもいる。彼は時々戻ってきて、年下の僕らに代表やプレミアリーグの話をしてくれたり、グローブをくれたりした。大きな励みになったよ。

 そこは自分にとって、プロのGKになるためのイロハを教えてくれた場所だ。僕の生まれ故郷にはレベルの高いクラブがなかったから、その決断をして本当によかったと思う」

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