Jリーグ最高の守護神スウォビィクがGKを始めた少年時代を語る。「横っ飛びしてボールを弾いた時は、本当に気持ちよかったな」
FC東京 ヤクブ・スウォビィク インタビュー 前編
Jリーグは現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、生活をどう感じているのか? 今回はFC東京のゴールを守り、毎試合のスーパーセーブがトレードマークのようになっている、GKヤクブ・スウォビィクに話を聞いた。
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「最初はストライカーになりたかった」
今季のJ1でも、GK大国出身の守護神が出色の活躍を披露している。
ヤクブ・スウォビィク、ポーランド生まれの30歳だ。昨年末まで2年半を過ごしたベガルタ仙台が、昨季終了時に無念にもJ2へ降格すると、FC東京からのオファーを受けて彼自身はJ1の舞台にとどまった。ハイレベルなパフォーマンスを連発する彼には、トップレベルがふさわしい。
身長190cmの上背と長い手足、驚異的な反射神経を生かし、遠目からのシュートはもちろん、1対1や至近距離からの決定機をも防いでみせる。
昨季までは数々のビッグセーブで仙台のファンを沸かせ、今季も同じように東京の人々の信頼を掴み、一部のファン・サポーターからは"クバ神"と呼ばれている。ただし本人は、いい意味で神々しさとは無縁の穏やかで謙虚なナイスガイだ。
約束の時間きっかりにオンラインのインタビュールームに現れると、にこやかに挨拶をして、「こちらこそ、あなたの時間をとってもらって、ありがとう」と返答する。画面越しの取材はなにかと簡単ではないけれど、その柔和な表情にこちらの緊張も解かれていった。
「フットボールを始めたのは7歳か8歳くらい。最初は多くの子どもたちと同じように、ゴールを守るのではなく、ゴールを決めることに憧れて、ストライカーになりたかったんだ」と、スウォビィクはこのスポーツを始めた時の思い出を紐解く。
「ただ僕はその頃からチャンピオンズリーグを観ていて、当時はマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)でピーター・シュマイケル(デンマーク)が活躍していた。その英雄のような姿に衝撃を受け、このポジションのイメージがガラッと変わったんだ。彼は本当にかっこよかったからね。
またジャンルイジ・ブッフォン(イタリア/当時パルマ)やイケル・カシージャス(スペイン/当時レアル・マドリード)が10代でトップシーンに台頭してきて、彼らにも夢中になり、触発されていった」
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