ジュビロ磐田が「ショッキングなゲーム」と大敗。それでも感じたプラスの新たなエッセンス (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 開幕からの全5試合に先発フル出場している鈴木は、メンバー表の上ではDF登録となっている。

 だが、いわゆる右ウイングバックの位置に入る鈴木は、守備時こそDFラインまで下がり、5バックを形成するものの、攻撃時には最前線で右ウイング然と構える。ここまでの5試合で決めたゴールは、すでに4点。第5節終了時点で、堂々の得点ランクトップである。

 こうした可変システムを活用し、主導権を握るスタイルは、甲府時代から知られる伊藤監督の十八番だ。いわゆるシャドーのポジションに入るMF大森晃太郎にしても、状況によっては3ボランチに近い形で立ち位置をとることもあり、相手の出方に応じて対応を変化させることができる。

 今季の磐田は、まだリーグ戦5試合を消化したばかりだが、かなり伊藤監督の色がついてきたと言っていいだろう。

 もちろん、すべてが順調に進んでいるわけではない。

 第5節終了時点での成績は、1勝2敗2分けの12位。なかでも、直近の第5節ではミスが目立ち、浦和レッズに1-4の大敗を喫している。

「気をつけないといけないところで失点したことが、今日のゲームのすべて」

 伊藤監督がそう語ったように、4点もの大量失点を喫したこともさることながら、そのうち3点を前後半それぞれの立ち上がりに奪われたことが、試合展開を苦しいものにした。

 浦和のハイプレスに対し、磐田はそれをはがして攻撃を組み立てようと試みるも、「立ち位置をとる前にプレッシャーを受けてしまった」と指揮官。相手のプレスをはがすどころか、むしろプレスをさらに呼び込むようなボールの動かし方しかできず、「自分たちのミスが多かった。ミスをしてはいけないところでミスをした」と嘆いた。

「ボールの動かし方や、相手のプレッシャーの逆をとるところはクオリティを上げていかないといけない」

 伊藤監督は、そんな言葉で課題を口にする。

 また、失点を重ねるなかでは、DFラインのスピード不足という不安が露呈し、試合終盤に反撃に転じるなかでは、昨季22ゴールを挙げ、J2得点王となったFWルキアンを失った穴の大きさを痛感することにもなった。

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