ジュビロ磐田が「ショッキングなゲーム」と大敗。それでも感じたプラスの新たなエッセンス (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 どんなに主導権を握ってゲームを進められたとしても、結局は得点できず、逆にボールロストが簡単に失点に直結したのでは、勝負という点では苦しくなる。負けがこめば、理想ばかりを掲げてもいられなくなるだろう。

 鈴木が「ショッキングなゲーム」と評したのも、うなずける結果である。

 とはいえ、大敗のなかにも、ポジティブな要素は垣間見えた。

浦和レッズ相手に1-4と完敗を喫したジュビロ磐田だが...浦和レッズ相手に1-4と完敗を喫したジュビロ磐田だが...この記事に関連する写真を見る 磐田は前半11分までに2点を失ったものの、その後は落ち着いてボールを動かし、敵陣でゲームを進める時間を増やした。14分に鈴木が1点を返したゴールも、セットプレーからの得点ではあったが、磐田が試合の主導権を握るなかで生まれたものだ。

 結果的に、その時間にもう1点をとって追いつくことができず、逆に浦和に3点目を与えたことが勝敗を分けることにはなったが、伊藤監督も「自分たちでボランチを経由しながらチャンスを作れていた」と語ったように、自分たちの時間をある程度作れたことは目指すサッカーが浸透してきた証だろう。

 勝負は紙一重、とまでは言えないまでも、0-2になってからでも、磐田に勝機が芽生えた時間帯があったことは確かだ。

 今季開幕を前に、磐田の評価は決して高いものではなかった。現時点での成績も、その評価に沿ったものだと言えるのかもしれない。

 だが、新生・磐田は、昨季までのスタイルに伊藤監督らしさというエッセンスを加え、着実に前へと進んでいる。

 それだけは間違いない。

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