なぜ扇原貴宏はF・マリノスからヴィッセルへの移籍を決意したのか。30歳で求めた新しい環境と「成長への欲」

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by(C)VISSEL KOBE

Jリーグ2022開幕特集
ヴィッセル神戸/扇原貴宏インタビュー

この記事に関連する写真を見る このオフのJリーグ移籍市場において、扇原貴宏のヴィッセル神戸への加入は大きな注目を集めた。2019年のJ1リーグ制覇をはじめ、昨季も主軸のひとりとして優勝争いを繰り広げた横浜F・マリノスからヴィッセルへ――。決断の最たる理由は「自身の成長への欲」だったと話す。

「クラブコンセプトでもある"アジアナンバーワンクラブ"に向かって本気でとり組んでいるクラブということにも惹かれたし、何より僕自身30歳になって、新しい環境でチャレンジしてみたいという思いも強かった。

 プロサッカー選手は30代でもまだまだ成長していける。そのために、今のタイミングで新しい環境でのプレーを求めたと考えても、この決断をプラスに働かせることができるように、自分らしく戦っていきたいと思っています」

 そもそも今回のチャレンジが、決して簡単でないことは覚悟している。F・マリノス時代、あるいは育成年代から在籍していたセレッソ大阪時代も、2ボランチの一角を主戦場としてきた扇原だが、昨季のヴィッセルはほとんどの試合で、中盤をダイヤモンド型に敷いた4-3-1-2システムで戦っている。すなわち、ヴィッセルで定位置を確保するためには、必然的に新たなポジションへのチャレンジが求められる。

「4-3-1-2は、これまでのキャリアでもほとんどやったことのないシステム。中盤の選手の走る距離、ボールを奪うタイミング、強度も、当然2ボランチの時とは違ってくる。今年も同じシステムで戦うとなれば、当然、自分をそこに融合させていかなければいけないと感じています。

 ただ、そういう新しいチャレンジこそが、自分の成長につながると考えて移籍を決断した部分もあったので、すごく楽しみだし、能力の高い選手がそろうヴィッセルでそのチャレンジを続ければ、間違いなく自分もスケールアップできるとすごくポジティブに受け止めています」

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