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なぜ扇原貴宏はF・マリノスからヴィッセルへの移籍を決意したのか。30歳で求めた新しい環境と「成長への欲」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by(C)VISSEL KOBE

「セレッソ時代もそうでしたけど、蛍くんはとにかくチームのために動き続けられる人。攻守両面で手詰まりになったところには必ず顔を出して助けてくれるし、そういうプレーを90分間惜しみなくすることができる。チームにとってはもちろん、僕個人にとっても同じピッチにいるとめちゃめちゃ助かる存在です。

 そんな蛍くんには、すでにピッチ外のところで教えてもらうことも多く、いろいろとお世話になっています(笑)。もちろん、ピッチでもたくさん助けてもらいたいし、僕自身も蛍くんのよさをより引き出せるような役回りがしっかりできたら、それはチームの結果につながるものになっていくんじゃないかと思っています」

 目標は「チームの目標を実現する助けになること」。すなわち、シーズンを通して"タイトル"に貢献できるパフォーマンスを体現することにある。そのためにも、F・マリノス時代のリーグ制覇の経験をもとに「積み上げ」の大切さを強調する。

「2019年は、最終的にリーグタイトルを獲得できましたが、決していい時間ばかりが続いたわけではありませんでした。そのなかで、一年を通して自分たちが目指す戦いをやり抜く大変さ、大切さを学べたことは、今の自分の財産になっています。その経験をもとに、ヴィッセルでも一年を通して個人、チームとしてブレずに積み上げていくことにこだわって戦っていきたい。

 大事なのは、シーズンが終わった時にどういう結果を出せているか。そのためには、目の前の1試合、1試合をしっかり戦いながら、結果としても、戦い方の中身としても、積み上げていかなければいけないし、常にチームがいい方向に進んでいくように、ヴィッセルのために100%の力を注ぎ続けたいと思っています」

 30歳で踏み切った大きな決断を、プロサッカー選手としてのスケールアップにつなげるために。扇原貴宏の新たなチャレンジが始まった。

扇原貴宏(おうぎはら・たかひろ)
1991年10月5日生まれ。大阪府出身。セレッソ大阪のアカデミーで育ち、2010年にトップチーム入り。プロ2年目のシーズン後半からレギュラーに定着。以降、チームの中心選手として活躍。2016年のシーズン途中に名古屋グランパスへ移籍し、翌2017年には横浜・Fマリノスへ移籍した。そして2022年、ヴィッセル神戸に完全移籍してさらなる飛躍を目指す。 

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