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なぜ扇原貴宏はF・マリノスからヴィッセルへの移籍を決意したのか。30歳で求めた新しい環境と「成長への欲」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by(C)VISSEL KOBE

 持ち味は、豊富な運動量を生かした中盤でのハードワークと、精度の高い長短のパス。三浦淳寛監督も「非常にサッカーIQの高い選手。芸術的なキックも大きな魅力」と信頼を寄せる。本人も新しいサッカー、戦術を自分のものにしつつ、「自分の特徴はしっかり表現したい」と意気込む。

「中盤はお互いの関係性がすごく大事になる。だからこそ、攻守両面で味方選手としっかり連係、連動することを意識しながら、攻撃と守備をつなぐところでしっかりとボールに関わって、チームにリズムを生んでいきたいし、自分がボールを触る回数を増やすことで、これまで以上にボールポゼッション率を高められるような動きを心がけたい。

 また、ヴィッセルは守備でもハードワークが求められるし、実際に昨年の対戦でもすごく積極的な守備をしていた印象があるので、そこも自分自身に求めながら、攻守両面で勝ちに貢献できるプレーができれば理想です。

 もっとも僕にとっては、今年がヴィッセルでの初めてのシーズンで、最初からいい連係がとれるかどうかは正直、始まってみないとわからないというか......もしかしたら、うまくいかないことのほうが多いかもしれないですけど、普段の練習でも時間を重ねるほど、どんどん連係が深まっていっているという手応えは感じられている。この先も試合を重ねながら、もっとよくなるようにしていきたいし、それを、しっかり勝ちにつなげていけるようにやっていきたいと思っています」

 そうした思いで臨んだ2月19日のJ1リーグ開幕戦。左インサイドハーフで先発の座をつかんだ扇原だったが、後半58分にこの日2度目の警告を受けて退場に。本人にとっては、ほろ苦いスタートになった。

 また、チームとしてもビルドアップや崩しの部分で精彩を欠き、0-2で名古屋グランパスに敗戦。課題が多く残る試合になったと言える。

 ともあれ、先の本人の言葉を思い返しても、戦いはまだ始まったばかり。これから試合を重ねることで、扇原自身の持ち味が発揮される時間は増えていくはずだし、チームとしての機能も高まりを見せることだろう。セレッソ時代にともに2ボランチを築いた盟友で、ヴィッセルの絶対的支柱である山口蛍の存在も、その助けにしながら。

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