ジュビロ磐田・杉本健勇「もう一度這い上がらないと。可能性がある限りW杯出場を目指す」 (2ページ目)
あらゆることを吟味して、正式なオファーを受けて杉本の腹は決まった。
「ジュビロ磐田に決めました。自分は今年、30歳になる。もう一度輝きたいし、爆発したい。その自信はあるけど、正直、何点とれるのかなっていう不安もあります。
でも今は、それ以上にジュビロで点をとって、自分の価値をもう一度高めて、代表に戻りたいと思っています。とにかく、ストライカーとしての輝きをとり戻すのが一番。それしか考えていないです」
意欲に満ち溢れていることは、その強い口調からも察することができた。しかしながら、不安を払拭することは、容易なことではない。
FWは自らのゴール感覚を大事にしている選手が多い。また、常に点をとり続けていないと、点のとり方に自信を持てなくなるケースもある。昨季限りで引退したJ1歴代得点王の大久保嘉人でさえ、ゴールがとれるかどうか、毎試合不安だったという。杉本も同じものを抱えているようだ。
「2016年、2017年と点をとれている時も、レッズで(点を)とれていない時も、『次、点をとれるかな』っていう不安はずっとありました。もちろん点をとれるようにシュート練習は日々行なっていますけど、練習だと限界があって、やはり試合のなかでとっていかないと、気持ち的には乗れないですね」
より多くのゴールを奪うには、シュートの確実性を高めるための練習をしたり、ゴールの再現性を高めるための反復練習を行なったりするが、杉本の練習に対する考え方は独特だ。
「よく『ゴールの再現性を高めるために練習する』とか言うじゃないですか。また、『練習でできないことは試合でもできない』とも言われますよね。
でもそれは、ちょっと違うかなと思うんです。もちろん練習を積み重ねていくことは大事だと思うんですけど、練習でできなくても試合でできる人がいるんです。実際、海外のクラブの練習に参加したりすると、練習ではそれほどすごさとか、うまさとかを感じない選手でも、試合になるとめちゃくちゃうまかったり、めちゃくちゃ活躍する選手っているんですよ」
別に杉本は、練習嫌いだからそう言っているわけではない。むしろ、逆だ。彼の自信の裏づけとなっているのは、ピッチ上だけではとどまらないパーソナルなトレーニングを含めた豊富な練習量だ。
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