杉本健勇、苦悩の夏。「練習に行くのもイヤ。朝がくるのもイヤで逃げ出したかった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by (c)JUBILO IWATA

 続く2018年シーズン、杉本への期待は大きく膨らんでいた。得点王に輝くほどの活躍を見せ、エースとしてチームを優勝争いへ導いてくれるはず――関係者やファンの多くがそう思い描いていた。だが、杉本はそのシーズン、30試合出場5得点という結果に終わった。

「前年は出来すぎの感がありましたけど、できることは見せられたし、2018年もやれる自信はありました。でも、2017年の年末に左足首の手術をして、その感覚がよくなくて......。相手に研究されてマークされたのもありましたけど、それが意外と大きかったですし、相手を崩しきって点をとる力が、チームにも、自分にも足りなかった」

 同シーズン終了後、尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督が退任。山口蛍、山村和也ら他の主力もチームを移るなか、杉本も"もう一度輝くために"新天地・レッズへの完全移籍を決めた。

 2019年シーズン、レッズでは開幕戦こそスタメン出場を果たしたが、その後はオズワルド・オリヴェイラ監督のスタイルに合わず、ベンチからも外されたり、ベンチ入りしても途中出場が多かった。チームもなかなか波に乗れず、リーグ戦では10位前後をうろうろしていた。

「当然ですけど、セレッソとはサッカーのスタイルが違うし、やるべきこと、求められることも違う。そのうえ、他の選手の人柄やプレーの特徴なども覚えていかなければいけないなか、自分らしさを出して点をとっていく、というのが想像以上に大変で......。

 でも、期待して僕のことを獲ってくれたわけじゃないですか。結果を出さなければいけないと、『(そのためには)どうしたらいいんやろ』って、いつも考えすぎるくらい考えていました。けど、悩んで試合に出ても結果なんてついてこないし、それで周囲からもいろいろと言われる。結果、自分のよさも出せない。かなり精神的に追い込まれていました」

 序盤戦の第4節(3月17日)、古巣・セレッソ相手にPKでゴールを記録した杉本だったが、それ以降はシーズン終盤の第27節(9月28日)のサガン鳥栖戦まで沈黙。FWとして得点を期待されながら、前半戦でわずか1点という現実にレッズのサポーターやファンは甘くはなかった。

 夏には大好きなサッカーをやりたいとさえ思わなくなった。

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