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Jリーグバブルから30年。伝説の開幕戦を率いた両監督が語る日本サッカーの今後の課題「ものすごく不安」な点もある (4ページ目)

  • 中山淳●構成 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そういったことを考えると、やっぱりサッカー先進国がこれまで経験してきたことを、もう一度勉強する必要があると思うんですよ。そうやってもう一度Jリーグの魅力を取り戻さないと、肝心の選手たちが次々と外国のリーグに流れていってしまうと思います。

清水 僕も、それについてはすごく不安に思いますね。代表クラスの選手のように、Jリーグで活躍してからヨーロッパに行く選手はいいとしても、最近はまだJリーグで実績を残していないような若い選手が次々と海外に行ってしまう。逆に言うと、Jリーグでプレーしていたほうがうまくなる、あるいはステータスが上がるというようなイメージが薄れてきたんだと思うんです。

「Jリーグでプレーしていても駄目なので、ベルギーでもオーストラリアでもどこでもいいから、とにかく海外のクラブに移籍したい」。そういう意識が若い選手のなかに浸透してしまった。実際、海外移籍しやすい環境になっていますしね。

松木 そう。伊東純也(ゲンク)のように、需要と供給のバランスがとれたなかで海外移籍して、向こうでさらにレベルアップするというのはいいんです。でも、そうではないケースもありますよね。

清水 やっぱり、そろそろ何らかの規制は設ける必要があると思いますよ。若くていい人材をしっかりJリーグに残せば、大化けしてスター選手が生まれるかもしれない。Jリーグも、自分たちでそういう選手を育てていかなければ、先ほどの話に戻るけど、リーグ自体の魅力が失われてしまいますよ。

 この先のJリーグの魅力、スタジアムに熱狂を取り戻すことを、もう一度よく考えないといけない時期にきていると思いますね。

松木 たとえば、日本人ストライカーが育たないなら、思い切って外国人ストライカーを獲得できないルールを設けるとか、日本人監督が育っていないなら、監督は日本人だけにするとか。

 長い歴史を持つヨーロッパでは、100年以上の歴史を重ねるなかで、自国の選手や指導者を育てるためにいろいろなルールを設けてきた歴史があるわけですから、Jリーグがそれをやってもいいと思いますよ。繰り返しになりますけど、いまの日本はかつてサッカー先進国が経験した問題が起こり始めているわけですから、やっぱり彼らの歴史や経験をもう一度、勉強すべきだと思いますね。

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