松木安太郎×清水秀彦スペシャル対談。1993年開幕戦「ヴェルディvsマリノス」の両監督が伝説の一戦を語る

  • 中山淳●構成 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

Jリーグ2022開幕特集
「松木安太郎×清水秀彦」スペシャル対談@前編

 2022シーズンは「Jリーグ30周年」という節目の年----。そこで、Jリーグの歴史に残る1993年5月15日のオープニングマッチ「ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)vs.横浜マリノス(現:横浜F・マリノス)」を、監督の立場として戦った松木安太郎さん(ヴェルディ)と清水秀彦さん(マリノス)に声をかけ、当時を振り返ってもらった。

久しぶりに対面したという松木安太郎氏(左)と清水秀彦氏(右)久しぶりに対面したという松木安太郎氏(左)と清水秀彦氏(右)この記事に関連する写真を見る---- まずは、Jリーグ開幕の様子を思い出していただけますか?

松木 ものすごい盛り上がりでしたよね。正直なところ、これだけ手のひらを返したように盛り上がるんだったら、なぜ僕らの現役時代に盛り上がってくれなかったんだって思ったくらいですから(笑)。とにかく、それまでとは180度世界が変わりました。

 とはいえ、我々ヴェルディは前身の読売クラブの時代からプロとしてやってきたチームだったので、周りは変わりましたけど、我々の考え方や取り組み方は変わっていなかった。

 ただ、監督の僕としては、ヴェルディは人気選手が多かったので、練習場に毎日たくさんのファンが集まってくることに戸惑った部分はありましたね。当時は非公開練習という習慣がなかったので、練習そのものがやりにくくて、チーム作りがものすごく大変でした。

清水 僕が最初に驚いたのは、なぜマリノスとヴェルディだけ、ほかのチームより1日前に開幕戦を戦うんだろうっていうことでした。ただ、これは僕の勝手な解釈だけど、当時はこの2チームが長くトップを競い合っていたから選ばれたんだろうなって。実際、そういう自負もありましたしね。

 そういう意味では、すごく光栄なことだと感じると同時に、大事な試合を任される責任も感じていましたね。それで試合当日にスタジアムに行ったら、あの雰囲気ですから。本当に驚きましたよ。

 たしかあの年の元日にも、この2チームで天皇杯の決勝を戦って、スタンドが満員だったでしょう。でも、ファンの応援も含めて雰囲気がまったく違った。だから、本当にこれからプロリーグが始まるんだなって思いましたよ。

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