松木安太郎×清水秀彦スペシャル対談。1993年開幕戦「ヴェルディvsマリノス」の両監督が伝説の一戦を語る (4ページ目)
それともうひとつ。相手は読売クラブの時代からプロだったので、うまい選手が多いし、派手さもあった。でも、こっちのタレントたちも「俺たちだってうまい。あいつらには負けない」というプライドがあったから、相手をリスペクトしながらも、試合になるといつも以上に気持ちの入ったプレーをしてくれたということも大きかったですね。
松木 そうですよね。だから僕は、Jリーグが始まるとなった時、間違いなくどのチームもヴェルディ戦だけは勝ちたい、ヴェルディを負かせてやろうと必死に向かってくると思っていましたよ。絶対にみんなのターゲットになるだろうなって。
清水 あのオープニングマッチの時も、試合前に選手たちに話したのは「これはお前たちの試合だぞ」ということでした。「向こうは何も変えないだろうし、こっちも変える気はない。だから、もうこれは選手同士のプライドの戦いだ。どっちがいいサッカーか、みんなに見せてやれ」って。
松木 僕たちが現役の時代からそうでしたね、読売と日産は。どっちがうまいか、どっちがいいサッカーか、どっちが強いのか。そういうプライドをかけた戦いでしたよ。
---- あのオープニングマッチでは、前半19分にマイヤーの先制点でヴェルディが1点をリードしてハーフタイムを迎えました。清水さんとしては、想定内でしたか?
清水 相手がヴェルディなので、1失点は想定内。しかも、まぐれみたいなシュートが決まったわけだし(笑)。ただ、前半に都並のヘディングシュートがあって、あれがもし決まっていたら2−0になっていたので苦しくなっていたかもしれないですけどね。ゲームプランとしても、後半のどこかで前線に速い選手を入れようと考えていたので、そのタイミングをどこにするかを見極めるだけでした。
松木 我々は攻めるチームだから、リーグ戦では1失点までは仕方ないので、必ず2点以上奪いにいくというサッカーをやっていましたからね。あの時も、もっと攻めて追加点を狙いにいきましたよ。
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