Jリーグバブルから30年。伝説の開幕戦を率いた両監督が語る日本サッカーの今後の課題「ものすごく不安」な点もある

  • 中山淳●構成 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

Jリーグ2022開幕特集
「松木安太郎×清水秀彦」スペシャル対談@後編

 2022シーズンは「Jリーグ30周年」という節目の年----。そこで、Jリーグの歴史に残る1993年5月15日のオープニングマッチ「ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)vs.横浜マリノス(現:横浜F・マリノス)」を、監督の立場として戦った松木安太郎さん(ヴェルディ)と清水秀彦さん(マリノス)に声をかけ、当時を振り返ってもらった。

◆松木×清水対談@前編はこちら>>「1993年開幕戦・ヴェルディvsマリノスの両監督が伝説の一戦を語る」

Jリーグ開幕マッチで指揮を執った清水秀彦(左)と松木安太郎(右)Jリーグ開幕マッチで指揮を執った清水秀彦(左)と松木安太郎(右)この記事に関連する写真を見る---- 伝説のオープニングマッチからもう少しで30年の歴史を重ねてきたJリーグですが、ここまでの歩みについて、発足当時をよく知るおふたりに振り返っていただきたいと思います。ここまでのJリーグは、いい方向に向かって進んでいるのでしょうか?

松木 まず、選手の強化という部分では、すごく順調に世界に近づいたと思います。これは間違いなく、Jリーグの功績ですよ。Jリーグが始まって、日本代表がW杯の常連国になった。もちろんW杯の出場枠が増えたこともあるけれども、日本人選手が世界でどのぐらいできるかという評価をしてもらえる時代になったことは間違いないです。

 現在、海外でプレーしている日本人選手が増えていますが、たとえばW杯に出場した日本の選手が、まだW杯に出場してない外国のクラブチームで活躍できるようになっています。つまりそれは、日本人選手の評価が上がったということ。

 わかりやすく言えば、ひと昔前の日本でプレーするブラジル人選手やヨーロッパ諸国出身選手のように、自分はW杯に出場したことはないけど、W杯出場国出身選手ということで日本のチームと契約できる時代がありましたが、現在の日本人選手がそれと同じ立場になったということです。

 それと、長い歴史を持つヨーロッパや南米の強豪国が過去に経験してきたようなことが、現在の日本にも起こり始めている。たとえば、外国のチームに移籍する選手が増えすぎてしまって、どのようにして代表チームを編成するかという問題もそうですよね。こうなると、コーチもひとりでは足らないから5〜6人の体制にしなければならないし、海外チームに所属する選手も視察しておかなければならないため、分業制にして各自がそれぞれ仕事をしないといけない時代になりました。そういう部分も含めて、確実に日本はサッカー先進国に近づいたと思います。

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