槙野智章に涙は似合わない。新天地ヴィッセルではエンターテイナーとしても「浦和でできなかったことを実現できる」 (3ページ目)

【柔軟に対応してくれる神戸】

　すでに移籍交渉の段階から、槙野はピッチ上のことだけでなく、ピッチ外の部分についての意見を出したという。入団会見の前から、クラブスタッフとは何度も連絡を取り合い、いかにチームを盛り上げていくかの議論も重ねた。

　そのアイデアが具現化されたのが、大晦日に行なわれたボクシングの世界タイトルマッチである。親友の井岡一翔が防衛に成功すると、試合後にチャンピオンは神戸のユニフォームを着てベルトを手にした。

「まだ僕が神戸に入る前だったのに、スタッフに連絡したらユニフォームを用意してくれたんです。神戸にとってもアピールになると考えてくれたからでしょう。そういうことに柔軟に対応してくれるクラブだから、これからもいろんなアイデアを出して、それを形にしていきたいですね」

　浦和時代、槙野は対戦相手としての神戸にどのようなイメージを持っていたのか。

「去年は４試合やりましたけど、選手のクオリティは相当高いですし、強豪への道を着実に歩んでいるイメージがありますね。実際に入ってみると、去年からの積み上げもあって、すごく完成されているチームだなと。個人的にはもっとコンディションを上げていかないといけないと感じています」

　浦和とはスタイルが違うなかで、槙野はこのチームで自身の特長をどのように発揮していこうと考えているのか。

「クオリティの高い選手がいる分、ディフェンス目線で見ると、失点を減らしたいなと考えています。今はいろんなコンビネーションをやっているんですが、どういう選手と組んでも同じような守り方をしないといけない。

　当然、浦和とはやり方が違いますから、まずは神戸のスタイルを習得しないといけませんが、浦和よりも自由にいろんなことができるかな、とも考えています。守るだけじゃなくて、チャンスがあれば点を取りにいく姿勢も見せていきたいですね」

　新天地ではあるものの、大迫勇也、武藤嘉紀、山口蛍、酒井高徳と、神戸にはロシアワールドカップをともに戦った選手がずらり。彼らの存在も心強いだろう。