メッシ獲得、ネイマール慰留...「鹿島の貴公子」レオナルドはフロントでも才能を発揮する
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第16回レオナルド(4)
ブラジルには、いやブラジル以外でも、サッカー選手としては輝いていても、引退後に困難に陥る選手が数多くいる。しかし、レオナルドはそんな問題とはまるで無縁だった。
彼は現在、世界で最も影響力のあるチーム幹部のひとりと言われている。もしかしたらそれは、選手時代以上の成功なのかもしれない。彼がミランやインテル、パリ・サンジェルマン(PSG)にもたらした選手たちのリストを見ればそれは一目瞭然だろう。
今シーズン、ネイマール、リオネル・メッシ、キリアン・エムバペの3人をチームにそろえた彼の功績は、高く評価されている。出ていくつもりだったネイマールには、巨額の報酬で3年の延長を取りつけた。メッシがバルサをやめると知るや即座に他のチームを出し抜いて(少なくともインテル、ミラン、バイエルン、マイアミが本気で獲得に乗り出していた)、数十時間後には自分たちのものとした。レアル・マドリードからずっとラブコールを受け、本人も移籍の意思を隠さなかったエムバペも、結局はこのままパリに残るとの見方が優勢だ。
その裏にはもちろんいろいろと問題はあるが、それでも結局こうした技を決めてしまうレオナルドの手腕は「芸術的」とも呼ばれている。ジョゼップ・グアルディオラもジョゼ・モウリーニョもそれを認めている。
リオネル・メッシのパリ・サンジェルマン移籍でお披露目に同席するレオナルド photo by AFP/AFLO この記事に関連する写真を見る 順を追って話をしよう。
2003年3月、レオナルドはミランで引退した。引退が告げられると、サンシーロには少なくとも40の「ありがとうレオ」と書かれた横断幕が掲げられた。前年の10月、シルビオ・ベルルスコーニ(当時の会長)に呼ばれてミランに戻ったものの、結局はコパ・イタリアで4試合、リーグ戦で1試合しかプレーしなかった。
しかし、ミランはそれでもよかった。なぜなら彼らの目的は引退後の彼にあったからだ。4月1日にはレオナルドのミランフロント入りが告げられた。その聡明さ、リーダーシップ、人脈、そして元選手にはあまりないエレガントさを買われたのだ。
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