青森山田とかつての「常勝軍団」国見。驚異的な強さを誇る2校には共通点が多い (2ページ目)
結局、高川学園は話題のトルメンタを繰り出すどころか、1本のCKも与えてもらえず、シュートはわずかに2本。内容的にも完敗だった。
力の差を見せつけられた高川学園の江本孝監督は言う。
「青森山田とは日常が違う。日常から激しく、厳しく、しのぎを削るような練習を積み重ねていかないといけない」
これで、青森山田は4年連続の決勝進出。常に選手が入れ替わる高校サッカー、しかも、ひとつ負ければ終わりのトーナメント大会であることを考えれば、驚異的な好成績と言っていいだろう。
4年連続の決勝進出は、第79回大会(2000年度)から第82回大会までの国見以来、史上2校目。やはり、これほどの快挙を成し遂げた両校のサッカーには共通点が数多い。
ロングボールの多用をいとわず、相手を押し込み、走力とフィジカルの強さを生かしたボールの奪い合いで優位に立つ。そこに見られるのは、徹底したリスクの排除と効率の追求である。両者がともにサイド攻撃を武器としているのも、ボールを失ったあとにピンチを招く危険性を考えれば、理にかなっている。
この準決勝を見ていても、青森山田は必ずしも圧倒的にボールを保持し続けていたわけではない。
だが、一度攻撃を止められても、素早く守備に切り替え、相手がクリアする前にボールを奪い返す。あるいは、クリアが小さくなったところを拾って連続攻撃を繰り返す。高川学園も常に守備組織を整えた状態で迎え撃つことができれば、青森山田の攻撃にどうにか耐えられるのだろうが、これが繰り返されると、どこかにほころびが生まれてしまう。
勝負を決定づけた3点目が、象徴的だ。
きっかけは、青森山田から見て右サイドの深い位置での混戦だった。ボールに絡む人数で言えば高川の選手のほうが多かったが、それでも青森山田はボールを確保してしまうと、最後は松木がバランスを崩した高川学園ディフェンスを楽々と突破し、難しい角度からシュートをねじ込んだ。
かつて青と黄色の縦縞が何度も見せた、"国見チック"なゴールだった。
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