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大久保嘉人の引退は突然の決断で「急な展開だった」。「本当に満足している」から生まれ変わっても「サッカーはもういいかな」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【プロになったらサッカーは仕事だった】

――大久保嘉人という選手は、いつだってギリギリの精神状態でやっていました。どんな試合も別人格のスイッチが入ったようで。それだけに消耗も激しかったですか?

「最後までそうでしたよ。チームがうまくいっていなかったら、むかつくし、キレるし。ずっと一緒でした。そこは変わっていない。ただ最後のほうは、あまりがみがみ言わず、内に秘めてやっている感じでした」

――性格上、ストレスは溜まりますね。

「それもあって、やめるっていうのもありますね。でも、それは、どこ(のクラブで)もそうでしたよ。フロンターレの時も、怒ってワーって周りに言っていたんだけど、あの時のチームって、みんな失敗を恐れずにやるから、どんどんできるように成長していった。それがフロンターレのすごさかな」

――引退後の次のキャリアは?

「特には何も考えていないけど、テレビの世界とか、いろいろチャレンジしたい。指導者は今のところあまり考えていなくて。まずはライセンスを取らなきゃいけないから。それが面倒くさいかな(笑)。でも、わからない。サッカーから離れて時間が経ったら、やりたいって思うかもしれないし」

――Jリーグで「無冠」と言われることに悔いはありますか?

「周りは『無冠、無冠』って言うけど、タイトルはチームとしていろいろなことが噛み合わないと獲れない難しさがある。プロとしての目標のひとつに"Jリーグに名を残したい"というのがあったから、得点王というタイトルを獲ったことで、そこは達成できたという自負はあるかな。それがなかったら、悔いが残っていたと思うけど」

――大久保嘉人にとって、サッカーとは?

「仕事。何をするのも一緒だよ。稼げないと生きていけないから。稼げないなら、やめて違う仕事をやったほうが、もっと稼げるかもしれない。プロになっただけで稼げないなら意味ないし、注目を浴びなかったら意味はない、と俺はずっと思ってやってきた。プロになることは『夢』と思っていたけど、いざプロになったら『仕事』だなって」

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