大久保嘉人の引退は突然の決断で「急な展開だった」。「本当に満足している」から生まれ変わっても「サッカーはもういいかな」
大久保嘉人 引退インタビュー 後編
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現役引退を発表した大久保嘉人(39歳)は、数字で語れるプロサッカー選手だ。
12月12日の天皇杯準決勝がラストゲームとなった大久保嘉人この記事に関連する写真を見る 3年連続Jリーグ得点王は前人未到の記録と言える。J1リーグ歴代通算1位の191得点、イエローカードも歴代1位の104枚。これだけでも波乱万丈だ。
しかし記録以上に、記憶に残る選手だった。誰よりも、ピッチの上で熱を放っていた。
「今でもボールが出てきたら、点は取れるよ」
スパイクを脱ぐ男が、こともなげに言った。
では、なぜ大久保は引退を決断したのか?
【「来年もやれるやろ」という今だと思った】
――単刀直入に聞きますが、引退のきっかけは何だったのでしょう? プロサッカー選手は肉体以上に、精神的にさまざまな理由で疲弊していくものですが......。
「俺はずっと批判されてきた選手で。(今年)セレッソ(大阪)に帰ってきた時も、いろいろ言われた。前の年に1点も取っていないし、しかもJ2(東京ヴェルディ)で。そこで開幕から点を取って、シーズン通して6点取って、見返すことができた。『ボールが来ればやれる、(ゴールを)取れる』って。そのイメージがみんなの頭のなかに入った。それなら、(引退は)今かなって」
――まだまだやれるようにも見えますが。
「最近は若手に出場機会を与えるようになっているし。もし来年も現役を続けても、試合に出ていないと、『もう引退するやろ』って話になるじゃないですか? でも、今年はやれていたから、『たぶん、来年1年はやるんじゃないか、絶対やれるやろ』って周りは思っていたはずで。その時、俺はぱっと、『今だな』って思ったんです」
――突然?
「そう。車で練習場から自宅に戻る時。トレーニングではいつもどおり、何も変わったことはなかった。11月16日かな。その日に決めて、妻に伝えて、次の日にはクラブに伝えていた。それで、11月19日に発表という、本当に急な展開だった」
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