サッカー通・平畠啓史さんが、今季J2で好きになった「語らずにはいられない」選手16人 (5ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

【フォワード】

 得点上位のピーター・ウタカ選手(京都)とルキアン選手(磐田)は欠かせないですね。ウタカ選手は、今年はゴール数も多いんですが、ゴール以外の部分でもチームに対する貢献度が高かった。中盤に下りてゲームを作ったり。ゴールしたあととか、試合中にうまくいってない時にすぐ曺監督と話をしてるところを見ても。

 やっぱりそこは曺さんのうまさ、人心掌握術なんですかね。あれくらいのキャリアを重ねた選手だとプライドもあるし、ヘソ曲げたら「俺もうそんなの嫌」っていうこともあると思うんです。でも、あのウタカ選手が機嫌よく、何ならこのチームのためにやってやるぞという姿勢で戦っていた。ウタカ選手を見ていると、曺監督の手腕が見える気がします。

 そうやってチームのために働きながらも「よし任せておけ! 俺が決めたるから」となった時に、ほんまにゴールを決めるっていう。あれはすごい。周りも、これウタカ決めに行くぞってわかる瞬間があるじゃないですか。本当にその時決めるんですよね。

 ジュビロはいろいろなスタイルで攻めることができるけど、真ん中で決められるルキアン選手がいるかいないかでだいぶ変わってくると思うんです。1人で前で孤立する時もあるんですが、そこでボールを収めて周りが上がってくるのを待てる。ああいうプレーは大きかった。

 今シーズンは精神的に落ち着いてたんじゃないかな。もちろんチームがうまくいっている、ゴールが取れているのもあるけど、そんなにフラストレーションが溜まってる感じに見えなかったですね。味方に「なんで出さねえん」だよ、みたいなのもあまり見えてこなかった。今年30歳になりましたが、年齢的にもプロキャリアのなかで一番いい時に来ているんじゃないかな。周りともフィットしていて、いい仕事をした1年だったですよね。
(おわり)

平畠啓史
ひらはた・けいじ/1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気。サッカー関連番組の出演や著書も多く、昨年は「平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた」(ヨシモトブックス)を出版した。

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