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小笠原満男が教えることから距離を置いていた理由。「教科書どおりじゃない選手のほうが面白い」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • photo by Aflo

 鹿島で12月にアカデミー専用グラウンドを完成させる予定だ。すでにユース選手のための寮も完成し、ACADEMY DNAを軸とした「地域密着型育成システム」を推し進めている。それでも都会をホームタウンに持つクラブと比べれば、子どもたちの数は少なく、「トップチームの主役を作ろう」というクラブの方針を実現するうえでのハードルは高い。逆にそのハードルを下げてしまえば、鹿島は鹿島ではなくなるだろう。

 長く鹿島では、高校サッカーや大学サッカーのトップレベル選手が加入し、高いレベルで切磋琢磨しながらチームの主力となってきた歴史がある。小笠原もそのひとりだ。しかし、時代は大きく変わり始めてもいる。

 Jリーグが始まって以降育成年代の日本代表には、Jクラブのアカデミー所属の選手が多く選出されるようになり、そんな選手たちは当然所属するクラブのトップチームへ昇格する。そして、選手の移籍が活発化し、所属期間も短くなり、海外移籍といういわゆる戦力の流出も増加した。だからこそアカデミーの存在が大きな意味を持っていく。2種登録ではなく、欧州のように高校年代からプロ契約する選手が増える可能性も高い。

 だからこそ、チーム内の競争の激しさやレベルの高さを維持しながらも、そこで戦い、勝ち抜けるアカデミー出身者を輩出する命題に小笠原は挑んでいる。


『頂はいつも遠くに 鹿島アントラーズの30年』

 寺野典子 著

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 四六判ソフト 384ページ

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