ベガルタ仙台はなぜ13季ぶり降格となったのか。その敗北は必然だった
「申し訳ないな、と......」
ベガルタ仙台のMF関口訓充は目を腫らし、涙に咽(むせ)び、それだけ言うのにも、しばし時間を要した。
「去年はホームで勝てず、"今年こそは"とシーズンを戦いましたが、思う結果を出せず。この順位(19位)で降格した責任を感じています。最年長の選手として、自分の背中を見せられなかったから降格したんだと思うし、サポーターには勝てなくてつらい思いをさせて申し訳ない」
関口は途切れ途切れに言った。そのたびに、2試合を残してJ2に降格した事実を噛みしめているように見えた。昨シーズンも17位と降格圏の成績で(コロナ禍で降格はなし)、順位的には「下馬評を覆せなかった」という表現になるのだが......。
2010年からJ1の座を守ってきた仙台は、なぜ降格の憂き目を見たのか?
湘南ベルマーレに敗れ、ファンに頭を下げるベガルタ仙台の選手たちこの記事に関連する写真を見る 11月20日、仙台。選手が乗り込んだバスは、遠巻きにサポーターに囲まれて立ち往生していた。残留を争う湘南ベルマーレとの直接対決、本拠地で0-2と敗れ、降格が決定した直後だけに、無理もない。無念さを伝えたかったのだろう。
「気持ち」
仙台のDF蜂須賀孝治は湘南戦後、何度もその言葉を使い、敗因を示した。
「リーグ終盤のこうした状況では、サッカーを理詰めで考えれなくなって、だからこそ、"勝ちたい"という気持ちがどれだけあるか、球際の一歩前、半歩前が大事で......。前半早くに失点して、受けに回ってしまい、気持ちの部分で戦う準備が足りなかった」
自責の念から出た反省の弁だが、はたして仙台の選手たちは気持ちが入っていなかったのか。
戦術的に整備されてきたチームは、自ずと"差"を生み出せる。個人の技術、体力で、さらに〝差"は増す。その車輪を、気持ちが回すのだ。言い換えれば、日々の正しい鍛錬という拠りどころがあってこそ大きな力が出るわけだが、その土台が感じられなかった。
仙台はつなぐことを目指していたようだが、ボールを受けようと顔を出す選手が少なく、むしろ受けることを怖がっていた。また、後ろからボールを運べるだけの技術判断がある選手が見当たらず、サイドの選手は攻め上がりのタイミングがめちゃくちゃ。選択肢が曖昧で、クロスや前につけるべきプレーの準備できていなかった。何度、無駄にボールを敵陣から下げたことか。
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