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ベガルタ仙台はなぜ13季ぶり降格となったのか。その敗北は必然だった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 10分の湘南の先制点も、逃げるようにボールを自陣まで下げたところでGKが前に蹴り込むしかなくなり、波状攻撃から叩き込まれていた。

 仙台は必然的に劣勢に立っていたと言える。前線の富樫敬真がポストに入り、どうにか攻撃を引っ張っていたが、他に攻撃の選択肢が乏しく、攻守に効率の悪さが見られた。たとえば攻めに回った時、選手がいっせいに前線に入るが、距離感がバラバラだった。気が逸(はや)るのはわかるが、各自の役割が明確ではなかった。

 もっとも、後半は"気持ち"で動いた。湘南がいくらか受けて立ったのもあるだろう。左サイドから西村拓真のクロスを冨樫がヘディングで狙い、わずかに外れた場面を契機に、押し込んでいる。この勢いで同点にできたら、スタジアムの後押しで逆転を狙えたかもしれない。

 しかし、そこでチームとしての練度の差が出た。後半29分、不用意な横パスを狙われ、インターセプトから湘南にミドルシュートを叩き込まれてしまった。これで万事休した。

「劣勢の中でも慌てず、落ち着いてプレーできた。練習でやってきたことを生かすことができ、90分間を通してパーフェクトなゲーム。必然的な勝利に持っていけた」

 湘南の山口智監督が語ったように、仙台の敗北は偶然ではなかった。

 単純な戦力で互角以上の湘南に、ホームで力負けしての降格。それは仙台のシーズンを象徴していた。強烈とは言えない湘南のプレスに狼狽。どのようにボールを運び、点を取るのか。そのデザインが見えなかった。そもそも守りの安定感がないことで、チーム全体が常にグラグラしており、それは惜しい試合でもリードを守りきれない正体だった。

「リーグ序盤、勝てない試合が続き、立て直しに時間がかかってしまった。いい兆しが見えたところで、勝ち点3のゲームが1、勝ち点1のゲームが0という残念な結果で......」

 仙台の手倉森誠監督は、降格したシーズンをこう総括している。

「今日のように負ければ終わりの重要な試合では、ロースコアでの勝負をモノにすることを想定していた。ただ、立ち上がりに失点してしまい、ひっくり返せず、後半は決定機を作り出せていたが、2点目が痛かった。(練習で取り組んできた)つなぎがうまく機能せず、クオリティの問題もあったが、守備意識の高い湘南を崩せなかった」

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