Jリーグ後半戦、各チームの新戦力と状況をチェック。ACL出場、残留争いをするのはどのチーム? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 神戸は派手ながらも堅実な補強をした印象だ。大迫と武藤に加えて、元バルセロナFWのボージャン・クルキッチ(スペイン)を獲得した。古橋亨梧がセルティック移籍で抜けたが、それを補って余りある補強からは、ACL圏内に向けての本気度が伝わってくる。

 ボージャンはバルセロナの育成組織出身で、17歳でトップチームにデビューして163試合出場、41得点。2011年にローマに移籍し、その後はミランやアヤックス、ストーク・シティなどを渡り歩いて、2019年8月からはMLSでプレーし、昨年いっぱいで退団した。所属したクラブのランクは次第に落ちていった感は否めないが、まだ30歳。アンドレス・イニエスタがいるだけにJリーグをナメてかかることはない。期待していいのではないかと思う。

 ただ、三浦淳寛監督にとって仕事が難しいのは、試合をしながらベストな布陣を見出さないといけないことだ。大迫やボージャンを獲得し、FWは選手が余る状態になった。試合に出られなければ選手は不満を溜め込むので、不協和音になりかねない。そこへのケアを含めたマネジメントが重要になる。

 それでも、たとえば2トップを大迫とボージャン、右に武藤、左にイニエスタ、守備的MFをサンペールと山口蛍で組んだ布陣を考えると、観る人をワクワクさせるものがある。ダビド・ビジャ(スペイン)やルーカス・ポドルスキ(ドイツ)が在籍していた頃の神戸も華やかだったが、あのときよりも成績も残せる気配を感じている。

◆「いい選手が揃っているのに」。中村憲剛、佐藤寿人が心配するチームは?>>

 苦しくなってきたのが名古屋だ。再開後は横浜FC、横浜FMに2試合連続で0-2の敗戦。最大の要因はセンターバック丸山祐市の負傷離脱だが、それを補ってもらいたい攻撃陣が相変わらず得点力不足に苦しんでいる。攻守で歯車が狂っているのが不安要素だ。

 後半戦に向けて獲得したポーランド代表FWのヤクブ・シュヴィルツォクが、1日も早くチームにフィットできれば、持ちこたえられる可能性はある。だが、それがかなわないときは、現状メンバーがどこまで奮起できるかにかかっている。

 浦和は酒井を獲得したり、柏レイソルから江坂任を獲得したりといい補強をした。神戸が派手な補強をしたのであまり目立っていないが、これでACL圏内の芽も出てきた。

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