熾烈なJ1昇格争い。先進的なサッカーに挑むヴァンフォーレ甲府の可能性は?
今季J2は、かなりの混戦状態にある。
現在、首位ジュビロ磐田(勝ち点52)から7位町田ゼルビア(同42)までの勝ち点差は10。多くのクラブがJ1昇格の可能性を持ったまま、シーズンは終盤戦に入ろうとしている(第25節終了時。以下同じ)。
加えて今季J2に特徴的なのは、J1経験を持つクラブが昇格争いを繰り広げていること。上位7クラブのうち、4位のFC琉球、7位の町田以外は、すべて"元J1"である。
2017年シーズン以来のJ1復帰を目指す、ヴァンフォーレ甲府もそのひとつだ。
今季の甲府は開幕戦からの4試合を3勝1分けで好スタートを切ると、その後は大きな浮き沈みなく、概ね5、6位につけてきた。コロナ禍以前なら、常にJ1参入プレーオフ圏内をキープしている、といったところだ(今季は昨季に続きプレーオフがなく、1、2位が自動昇格)。
J1復帰へ、好位置につけているヴァンフォーレ甲府この記事に関連する写真を見る 成績は安定しており、直近の第25節では前節終了時点で最下位のSC相模原に1-2と痛い敗戦を喫したが、それでも依然6位につけている。
伊藤彰監督が就任して3シーズン目の今季、甲府が取り組んでいるのは、なかなか挑戦的なサッカーだ。
相模原の高木琢也監督の言葉を借りれば、「ボールを保持して、可変(システム)で崩す」。甲府のサッカーに基本布陣はあってないようなもので、ピッチ上の選手が自在に立ち位置を変えながら、相手守備網を破っていく。フォーメーションをお決まりの数字で表せば、4-3-3にでもなるのだろうが、その並びを表記することに、ほとんど意味はない。
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