Jリーグ後半戦、各チームの新戦力と状況をチェック。ACL出場、残留争いをするのはどのチーム? (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 開幕前にクラブが発信したACL出場権獲得は建前で、勝負は来年と考えていたと思うが、いまは実際に狙える状況になった。サポーターもここからはACLを意識する雰囲気になるはずで、それによって監督や選手たちにかかるプレッシャーは大きくなる。そのなかで勝ち切れるかが見どころだろう。

 リカルド・ロドリゲス監督をはじめ、昨季までJ2でプレーしていた小泉佳穂や明本考浩などは、大勢のサポーターのいる浦和ならではの重圧を知らない。それを補うためにW杯などの大舞台や国際経験の豊富な酒井を獲得したのだと思うが、個人的には槙野智章に期待している。

 槙野は元来、ピッチの内でも外でもアクセルを踏むような選手で、若い頃はそれがパフォーマンスの不安定さにつながることもあった。しかし、年齢を重ね、経験を積むなかで、いまはしっかりブレーキも踏みながら、ピッチ内外でしっかりバランスを取れるようになった。自身の持つ影響力や発信力をポジティブな方向に使える槙野だからこそ、チームが苦境に立ったときには彼に注目したいと思っている。

 後半戦に向けて台風の目になりそうなのが、清水エスパルスだ。前半戦は降格圏付近をさまよっていたが、後半戦に向けては鳥栖から松岡大起を、神戸からFW藤本憲明を獲得したほか、新外国人選手も加入している。

 開幕前も大きく動いた清水だが、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のサッカーを実践するには駒が足りなかったのだろう。前半戦はロティーナ監督のサッカーをできる試合とできない試合のムラが大きかったが、後半戦はコンスタントに力を発揮できれば、残留争いから早々に離脱して、上位陣が手を焼く存在になっていくのではないか。

 残留争いは、第24節終了時点で横浜FC、大分トリニータ、ベガルタ仙台、湘南ベルマーレがJ2降格圏にいる。このうち横浜FCと大分は上積みを期待できる要素が小さく、苦しいように見える。仙台や湘南は、降格圏手前で踏みとどまる徳島ヴォルティス、柏レイソル、清水エスパルスに食らいついていきたいところだ。いずれにしろ、ここから厳しい戦いが続くし、降格圏にいるチームとの対戦だからとナメてかかると、上位陣も痛い目に遭うだろう。

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