鈴木彩艶は飛び級でU−24代表。槙野が挙げた18歳GKの3つの魅力 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 当然、経験値ではJ1通算出場500試合超を誇る西川には大きく及ばない。足もとの技術も西川に分があるだろう。しかし、鈴木が西川を大きく上回るのは、圧倒的なサイズである。

 身長189cm、体重91kgの恵まれた体躯は、GKの大型化が進む現代サッカーにおいて基準を満たすものだろう。世界を見渡せば190cm超が平均値となるなか、まだ成長の余地を残す鈴木が、国際基準に到達することは十分に考えられる。

 もちろん、サイズだけではない。セービングや足もとの技術も国内では水準以上にあるだろう。そのレベルをクリアしているからこそ、西川からポジションを奪うことができたのだ。

 鈴木だけではなく、ほかのクラブでも190cm前後の若きGKが台頭しつつある。

 FC東京の波多野豪(23歳)は198cm、湘南ベルマーレの谷晃生(20歳)は190cm。サンフレッチェ広島の大迫敬介(21歳)は187cmとわずかに及ばないが、がっしりとした身体つきでサイズ感は数字よりも大きく感じられる。彼らはいずれも所属クラブでレギュラーを担う存在だ。

 ほかにも、まだポジションは掴めていないものの、北海道コンサドーレ札幌の中野小次郎(22歳)は2メートルちょうど。横浜F・マリノスのオビ・パウエル・オビンナ(23歳)は193cmで、横浜FCの市川暉記(あきのり/22歳)は190cm。一時期は韓国人選手に奪われつつあったこのポジションに、サイズと足もとの技術を兼備した若きタレントが次々に台頭してきている。

 鈴木に話を戻せば、5月30日に行なわれた名古屋グランパスとの一戦でも、この新たな守護神は才能の片鱗を垣間見せている。前節の広島戦ではCKを直接決められ、終了間際にニアサイドを抜かれてミドルシュートを叩き込まれた。とりわけ1点目は判断ミスを指摘されるものだっただけに、この名古屋戦は巻き返しの一戦だった。

 決定的なシュートは少なかったとはいえ、柿谷曜一朗の進入を防いだり、1対1の局面で放たれた山崎凌吾のシュートを冷静にキャッチするなど、鈴木は終始安定したプレーを見せた。後半には相手のプレスにも動じず、落ち着き払ったビルドアップも披露。味方の援護射撃がなく勝利は手にできなかったものの、鈴木は出場5試目にして4度目のクリーンシートを達成している。

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