2021.06.01

鈴木彩艶は飛び級でU−24代表。槙野が挙げた18歳GKの3つの魅力

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ただひとり、手が使えるという特異なポジションであるGKには、なにより経験が必要と言われる。試合中に起こりうる様々なシチュエーションは、場数を踏まなければ味わえないし、シュートやクロスへの対応力や1対1の状況で求められる判断力は、実戦を積んでこそ研ぎ澄まされるものだ。

 たとえば、キャッチするのか、弾くのか。飛び出すのか、構えるのか......。日々の練習だけで、その感覚を身につけるのは難しい。

 味方を声で動かすコーチングも、説得力が備わらなければ、チームメイトは素直に耳を傾けてはくれないだろう。その説得力も、また経験によって築かれるものだ。

浦和レッズのゴールを守る18歳の鈴木彩艶浦和レッズのゴールを守る18歳の鈴木彩艶 この記事に関連する写真を見る  だからGKは、ひとつしかないそのポジションを一度掴んだら、なかなかその座が揺らぐことはない。逆に言えば、ほかの選手、とりわけ経験の乏しい若手にとっては、モノにするのが困難なポジションでもあるのだ。

 浦和レッズで長く守護神として活躍するのが西川周作である。

 2014年に加入以降、昨季までの7シーズンでリーグ戦のピッチに立たなかったのは、わずかに1試合のみ。183cmとGKとしては小柄ながら、鋭い反射神経を生かしたセービングとフィールドプレーヤー顔負けの足技を駆使し、攻撃の起点としての役割も担ってきた。

 とりわけ、ビルドアップを重視するリカルド・ロドリゲス監督が就任した今季は、キックを武器とする西川の存在感はますます高まるかと思われた。

 ところが、開幕からスタメン出場を続けてきた西川は第12節のアビスパ福岡戦を最後に、ついに守護神の座を失うこととなる。奪ったのは18歳の鈴木彩艶(ざいおん)である。

 ガーナ人の父を持つ鈴木は、第13節のベガルタ仙台戦でリーグデビューを果たすと、いきなり完封勝利に貢献。続くガンバ大阪戦、ヴィッセル神戸戦でも無失点に抑え、3試合連続完封勝利を達成した。

 第16節のサンフレッチェ広島戦で2失点を喫したものの、Jリーグの公式サイトのデータによると(5月28日時点)、ペナルティエリア内からのシュートのセーブ率は100%でリーグ1位。試合数が少ないため純粋な比較にはならないかもしれないが、18歳とは思えない落ち着いた対応で、相手のシュートをことごとく防いでいるのだ。