劇的同点弾。仙台が王者・川崎から奪ったゴールはCBの効果的な動きから (2ページ目)

◆J1クラブ別「歴代最高のストライカー」は誰だ？【東日本10チーム編】＞＞

Answer
アンカー脇のスペースに走ってボールを運び、相手を引きつけた

　センターバック（CB）照山颯人の、機を見たオーバーラップだった。松下がボールを持った瞬間から、照山は動き出していた。

照山がアンカー脇のスペースでもらって横パス。フリーのマルティノスが受けて、ミドルを決めた　トップスピードでオーバーラップを仕掛けた照山対して、川崎はマークにつく選手がいなかったため、照山はフリーで駆け上がれた。CBが前線へあがる利点である。

　その照山がオーバーラップで目指したのは、マルティノスのマークのためにアンカーの位置に落ちた、塚川の脇のスペースだった。松下が体を開いてボールを持ったことで川崎の旗手怜央は照山への横パスに食いついて動き、左斜前へのパスコースが空いた。

　松下はそのスペースへ走り込んだ照山へスルーパス。そのパスが出た瞬間、脇のスペースを突かれた塚川は動かざるを得なかった。照山のオーバーラップが効果的に働いた瞬間だ。

　パスを受けた照山は塚川を引きつけて、中央でフリーとなったマルティノスへパス。ワンタッチで前へコントロールしたマルティノスは、次の瞬間に左足を一閃。GK丹野研太が触ることもできない、強烈なミドルシュートを突き刺した。

　瞬間的に数的優位をつくり、マルティノスにスペースと時間を与えた照山の見事なオーバーラップが、この劇的な同点弾を生んだ。

　ここまで１勝４分８敗（５月12日時点）と苦しむ仙台だが、王者相手に掴んだ勝ち点１を浮上のきっかけにしたい。

◆【動画】J1第20節　川崎×仙台ハイライト
（マルティノスのゴールシーンは５分31秒〜６分28秒）