横浜FM、リスク上等の減で迫力も失う。川崎相手に「ビビっていた」
ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2020年。連覇を狙った横浜F・マリノスだったが、優勝争いに絡むことなく9位でシーズンを終えた。
コロナ禍における過酷日程にACLの変則スケジュールも加わり、コンディション維持が困難となったことは理解できる。なにより走力が求められるサッカーである。そのベースを保ちづらくなってしまったのだから、結果を手にするのは難しい。
開幕スタメンを勝ち取った高卒ルーキー樺山諒乃介(右) それでも第27節の浦和レッズ戦で6ゴールを奪うなど、持ち前の攻撃力を示す試合もあり、優勝した川崎フロンターレに次いでリーグ2位となる69得点をマークした。これは優勝した2019年の68得点を上回る数値である。
一方で、3失点以上の敗戦が10試合を数え、59失点はリーグワースト4位タイ。これは残留争いに巻き込まれた2018年(56失点)よりも多かった。
もちろん、アンジェ・ポステコグルー監督の標榜する攻撃スタイルが、このチームのカラーとなっていることは間違いない。しかし"リスク上等"のスタイルでは、継続的に勝ち続けることが難しいことを昨季の戦いで痛感したはずだ。
攻撃スタイルはベースにありながら、いかに守備とのバランスに意識を傾けるのか。リーグ最強の攻撃力を誇る王者・川崎との開幕戦は、そのテーマを実践するうえで打ってつけの試合と言えた。
昨季は、ともに1−3で敗れている。縦にも横にもコンパクトな陣形を保つ横浜FMの守備は、川崎の大きなサイドチェンジによって、あっさりと攻略された。とりわけ右サイドを三笘薫に再三突破を許したのは、鮮明に記憶に残っている。
横浜FMは今季より、守備時には4−3−3、攻撃時には3−4−3となる可変システムに取り組んでいるという。以前は守備陣の駒を減らしてでも攻撃時には人数をかけていたが、今季後方に3枚を残しているのは、ボールを失った時のカウンターのリスクを避けることが狙いだろう。
また昨季と比べると、ハイプレスの強度は弱まった印象だった。天野純の説明によれば「去年まではCBやGKにボールが入ったところでプレッシャーをかけにいったが、去年失点が多かったのもあって、CBではなくサイドに入ったところでプレッシャーをかけるようにしている」ということだった。これもまた、ハイプレスによるリスクを低減する目的と思われる。
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