熾烈なJ1サバイバルも開始。鳥栖と湘南が残留するためには何が必要か

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

<4チームが降格>

 そのサバイバルの戦いは、2021年シーズンJ1の見どころだろう。昨シーズンはコロナ禍で降格が回避され、今シーズンはその"ツケを払う"ことになった。下位チームには厳しい条件で、中位以上のチームも巻き込まれる可能性は十分にある。

 2月27日、レモンガススタジアム平塚。この開幕カードの「両チームが仲良くどちらも生き残る」という見込みは薄いだろう。

 湘南ベルマーレは昨シーズン18位と最下位だったが、同じ体制でスタートした。後半戦はいくらか巻き返したが、劇的にプレーが好転したわけではない。決定力の欠如はいかんともしがたく映る。

 サガン鳥栖は過去3シーズン、監督交代や急速な世代交代で勝ち点を取り切れず、下位をさまよっている。経営面の不安もあって、昨シーズンまでの主力選手を手放さざるを得なかった。若く経験の浅い選手たちをマネジメントできるか。

 結果から言えば、湘南は0-1と鳥栖に敗れた。勝ち点3が持つ意味は大きいが、内容はどちらが勝ってもおかしくはなかった。拮抗した勝負は、彼らの課題も映し出していた。それぞれが生き残る条件とは――。

 開幕戦で決勝ゴールを決めた林大地(サガン鳥栖) 開幕戦で決勝ゴールを決めた林大地(サガン鳥栖) 湘南は、士気の髙さは見せた。それは、今後も彼らのよりどころだろう。前後半を通じ、立ち上がりの出足の鋭さでは相手を凌駕していた。前半4分には、鳥栖に自由を与えず、バックパスのミスを誘う。これを大橋祐紀が左サイドから持ち込んで、右足を振り切ったが、シュートは無情にもバーを直撃した。

「短い時間でお互いの攻守が入れ替わる状況で。準備してきたことは、大半は出すことができました。ペナルティエリアでの質を高めなきゃ、とは思っていますが」(湘南・浮嶋敏監督)

 湘南はいくつか決定機を作ったが、ことごとくゴールできていない。FKに抜け目なく跳び込み、ヘディングで合わせたシーンは枠に跳ばず、立て続けにシュートを放ってもハンドで取り消され、終盤に相手のラインを破ってGKと1対1になっても決められなかった。

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