Jリーグを盛り上げてきた旧ユーゴ系監督。全員、記者会見が強烈だ (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by Getty Images

 J1での最多勝利監督ランキング3位(外国籍監督の1位)に付けているのが、現在は北海道コンサドーレ札幌を率いているミハイロ・ペトロヴィッチ(J1通算203勝)だ。単に勝利数が多いだけではなく、サンフレッチェ広島や浦和レッズ、そして札幌で、DFが積極的に上がってくる攻撃的で魅力的なチームをつくり上げてきた。

 そして、旧ユーゴスラビア諸国出身の指導者のなかで最も有名なのが、ジェフユナイテッド千葉を強豪に育て上げ、その後日本代表監督を務めたイビチャ・オシム(J1 通算49勝)だ。

 オシムは1990年のイタリアW杯ではユーゴスラビア代表監督を務め、準々決勝ではあのディエゴ・マラドーナ率いるアルゼンチンと互角以上の戦いを繰り広げた。この試合は惜しくもPK戦で敗れたものの、オシム監督のユーゴスラビア代表は高く評価されて「次期大会の優勝候補」とも言われた。ところが、同大会後にユーゴスラビア連邦は解体されてしまった。

 その後、オシムはオーストリアのシュトゥルム・グラーツで監督を務め、小さなクラブを率いてUEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードなどのビッグクラブを相手に渡り合った。ペトロヴィッチはその時、オシム監督のアシスタントコーチを務めていたので、オシムの弟子に当たるわけだ。そして、そのグラーツでプレーしていたのが、現在は町田ゼルビアで監督をしているランコ・ポポヴィッチ(J1通算40勝/J2通算12勝)である。

 この3人に、いや、旧ユーゴスラビア諸国出身のコーチたちすべてに共通する特徴は、とにかく話が長いという点だ。

「しゃべりだしたら止まらない」のである。

 ペトロヴィッチ監督の記者会見など、途中から話はどんどん脱線して、「昨年の試合でこんなことがあった」とか、「自分は日本のサッカーのためを思ってこういう話をするのだ」とか、その日の試合とは関係のない話(自慢話かグチ)に逸れていく。ずっと通訳についている杉浦大輔コーチも、さぞご苦労されていることであろう。

 ポポヴィッチは2011年にも町田の監督としてチームをJFL3位、そしてJ2参入に導いたことがある。

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