オシム・ジェフは休みなしの定説に当時のコーチが反論。休息はあった (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi

 5節の横浜F・マリノス戦、6節の京都パープルサンガ戦、7節のセレッソ大阪戦で白星を重ねて首位に浮上したジェフは、8節で名古屋グランパスに1-2と敗れて首位の座を譲ったものの、11節で柏レイソルを2-0で下して再び首位に返り咲く。

 快進撃の理由のひとつに、試合から逆算したトレーニングがあった。

 例えば、2対2のトレーニング中、残りの選手たちが見守っていると、オシムは「なぜ、サポートに行かないんだ?」と苦言を呈す。いやいや、2対2をやると言ったじゃないですか、と困惑する選手たち......。

「でも、試合中に2対2の局面がそのままってことは絶対にないですよね。誰かがサポートに行くし、相手も寄ってくる。試合中には2対2が3対2とか、4対2とか、4対3とか、目まぐるしく変わる。ただ、なんでもかんでも行けば、スペースを消すことにもなる。だから、トレーニングの中で、どのタイミングで、どこにサポートに行くのか考えるようになる。考えることが習慣化されれば、無意識でやれるレベルになり、自動化されていく。オシムさんのメニューはすべて、そういった狙いが隠されているんです」

 どんどん変わるのはルールだけではない。練習メニューそのものも、あってないようなものだった。オシムに重用されたひとり、坂本は「オシムさんは練習開始の10分前くらいにやって来て、車から降りてそのままピッチに入って、練習を始めるような印象だった。だから、スタッフも何をやるのかわからず、大変そうでしたね」と証言する。

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