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ラフプレーをした選手をキャプテンに。永井秀樹監督は何を思ったのか (4ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari

「祥平の姿を見ていると、指導者は、あらためて選手の本質を見る努力をしなければ駄目だなと思った。ぶっきらぼうだったり、指導者に対しても反対意見をしたり、熱くなりやすい性格の選手がいると、『あいつは扱いにくい』という言葉で片づけようとする指導者もいる。でも、俺はそうは思わない。自分も現役時代、『永井は扱いにくい』って言われ続けてきたから(笑)。

 そういう選手に対してこそ、より踏み込んで向き合うことが必要じゃないかな。まずは信じることが、監督、指導者をする上で一番求められることだと思う。どれだけすばらしい戦術論を説いても、プレーするのはロボットではなくて、心ある人間だからね。心に響かない限りいいプレーはできないし、結果、いいチーム作りはできないと、自分は考えている」

◆「中村憲剛から後継者・大島僚太への言葉」>>

 第32節で首位、徳島に敗れたヴェルディだが、その後は3連勝を飾り、順位も一時7位(第35節終了時点)まで上げた。終始ボールを支配してゴール前に迫っても、最後の崩しの部分、『得点を奪う』ということに課題を抱えていたヴェルディだが、3連勝中は2点(対京都サンガ)、3点(対ザスパクサツ群馬)、2点(対レノファ山口)と複数得点をあげるなど、ようやく理想とするスタイルの最終形まで表現できるようになってきた。

「山口戦の前のミーティングで、選手には『人生において、なにひとつ無駄なことはない』と伝えた。春先のキャンプから、練習量も多いし、ミーティングも長い。傍(はた)から見れば、我々は無駄に思われるようなこともたくさん重ねてきたかもしれない。でも、自分の中では、無駄だったことは何一つなかったと思っている。それを選手が理解して、それぞれが志を持って取り組んでくれていることには心から感謝している。これが、結果にも結びついてくるようになった」

 勝利を掴むことで評価されるプロの世界において、永井は「美しさ」や「エンターテインメント性」など別の魅力や価値も見出そうと取り組んできた。道のりは険しく、結果が出なければすぐ批判を浴びることになるが、それでも永井、そしてヴェルディの選手たちは理想を追求し続ける。コロナ禍の影響で異例続きとなった2020シーズンもいよいよ終盤戦。永井ヴェルディはどんな変化を見せ、シーズンを締めくくるのか注目したい。

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