2020.11.29

川崎・鬼木監督のすごさはどこにあるのか。マネジメントの手腕を考察

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■J1は川崎Fが記録ずくめの優勝を果たした。鬼木達監督が就任し、4年で3度目の優勝。とくに今季はチームづくりの微調整で、より多くの選手が自分の強みを出せるようになり、選手層の厚みが増したことが勝利を呼び込んだ。その鬼木監督のマネジメントを、福田正博氏は高く評価している。

 川崎フロンターレが2年ぶり3回目の優勝を決めた。特に、G大阪から5ゴールを奪って優勝を決めた試合は、今シーズンの川崎の強さを表していたと思う。

監督就任4年で、3度のリーグ優勝を達成した川崎の鬼木達監督(写真左) リーグ戦4試合を残しての優勝は、2010年に3試合を残して優勝した名古屋グランパスを上回るJ1史上最速の記録。勝ち点も75に伸ばし、15年のサンフレッチェ広島、16年の浦和レッズが記録したシーズン最多勝ち点74を超えた。残り試合すべてに勝てば勝ち点87になるが、どこまで勝ち点を伸ばすかにも興味は尽きない。

 これで鬼木達監督は、2017年の就任から4シーズンで3度のJ1優勝。昨シーズンもリーグ優勝を逃しはしたが、ルヴァンカップは制している。

 鬼木監督のマネジメントが、川崎に数多くの栄光をもたらしたのは間違いない。それでも監督にスポットライトが当たることが少ないのは、選手たちが主役になるようにサポートするタイプだからだ。

 鬼木監督は、選手に寄り添いながらチームを強くしてきた。日本での監督像となると、チームの先頭に立つ厳格で熱血なスタイルを真っ先に思い浮かべがちだが、鬼木監督のそれは真逆である。中村憲剛をはじめとする選手たちの意見に耳を傾け、選手たちを後方から支え、チーム全体を押し上げてきた。

 もちろん、これは選手の顔色をうかがいながら...ということではない。最終的には鬼木監督が決断するが、選手とコミュニケーションを重ね、考えを汲み取るプロセスがあるため、選手たちも監督の方針に納得しやすいのだと思う。