川崎・鬼木監督のすごさはどこにあるのか。マネジメントの手腕を考察 (3ページ目)
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一方、今季はレアンドロ・ダミアンや齋藤学といった、昨季チームになかなかフィットできなかった選手や、三笘薫や旗手怜央らの新加入選手たちも、それぞれに持ち味を発揮した。
つまり、風間時代なら完全にはチームにフィットできなかった選手たちでも、今季はそれぞれが持つ武器を活かせるスタイルへと微調整されたのだ。そして、これによって選手層は大幅に厚みを増すことになった。
こうした変化は、じつは目に見えるわかりやすさがない。そのため鬼木監督の手腕がクローズアップされにくいのかもしれない。だが、この微調整の部分にこそ鬼木監督の独自色が表れていると思う。
ただ、鬼木監督にとって、来季はこれまで以上に難しいシーズンになるのではないか。
各チームが川崎をさらに研究してくるうえに、来季は4チームがJ2へ降格になる。川崎との力の差を感じているクラブは徹底して「勝ち点1」を狙いにくるため、今シーズンのようにゴールを量産できるとは限らない。さらにアジアチャンピオンズリーグ(ACL)での戦いもある。なにより大黒柱だった中村憲剛が抜ける影響は大きいだろう。
どれだけ強いチームをつくり上げようとも、変化と変革をおろそかにすれば、そこから停滞や下降が始まっていく。それを理解している鬼木監督が、今年のチームをベースにしながら来季はどんなチームをつくるのか。いまから楽しみでならない。
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