2020.11.27

中村憲剛から後継者・大島僚太への言葉。「彼がいるから僕も輝けた」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 キックオフから間もなくして、川崎フロンターレの優勝を確信した。勝つか引き分けで優勝が決まる、2位のガンバ大阪との大一番。拮抗した展開が予想されたが、両者の実力差は明白だった。

 立ち上がりから川崎が一方的にボールを支配し、G大阪が自陣で耐えしのぐ時間が続く。宮本恒靖監督の下で整備されたG大阪の守備組織がそう簡単に崩れることはなかったが、何とかマイボールにしてもすぐさま奪い返され、再び攻撃を浴びてしまう。

中村憲剛の腕にキャプテンマークを巻く大島僚太 そんな展開に陥れば、決壊するのも時間の問題だった。

 22分にレアンドロ・ダミアンのゴールが生まれると、その時点で勝敗は決したと言ってもよかった。その後は家長昭博のワンマンショーが始まる。故障を抱えながらもこの重要な一戦に挑んだ背番号41は、45分、49分、73分と、古巣相手に容赦ないハットトリックを達成。終了間際にも途中出場の齋藤学がダメを押した。

 この勝利で川崎は勝ち点を75に伸ばし、G大阪との差を17に拡大。ポイント差をそのまま表すかのような圧勝劇で、川崎が2年ぶり3度目の頂点に立った。

 今から5カ月も経たないほど前、再開したばかりのJリーグで味わったのは、川崎の圧倒的な強さだった。味の素スタジアムで行なわれたFC東京戦で、川崎は前半だけで4得点を奪い"多摩川クラシコ"と呼ばれるライバル対決を制している。

 今季より採用された3トップの破壊力は絶大で、右ウイングの家長を中心とした攻撃スタイルが機能。まだその頃はリモートマッチだったから、ピッチ上で奏でられるリアルな音が記者席にまで届いていた。バシッ、バシッとリズミカルに刻まれる川崎のパスワークのサウンドは実に軽快で、必死に対応するFC東京守備陣を嘲笑うかのように、次々にゴールに迫っていた。

 新システムにおいて、進化を感じさせたのは大島僚太だった。

 昨季までのボランチではなく、ひとつ前のインサイドハーフにポジションを移した大島は、より攻撃的な能力を発揮できるようになっていた。持ち前のパスワークだけでなく、セカンドストライカーのようにスペースに飛び出し、エリア内でボールを受ける役割もこなし、見事に先制ゴールも奪っている。