2020.11.25

Jリーグ在籍中にW杯で優勝した唯一のブラジル代表が語る「日本愛」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

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1994年アメリカW杯でブラジル代表に選出されたロナウダン photo by Yamazoe Toshio サンパウロの守備の中心選手としてトヨタカップ(現在のクラブワールドカップ)を2年連続で制した後、日本でプレーすることを選択したロナウダン。そのポジションのせいもあって、日本の皆さんはもしかしたら彼のことをあまり覚えていないかもしれない。

 しかし、ロナウダンはJリーグでプレーするブラジル人選手として、それまで誰も成し遂げなかったことをしている。1994年、彼は当時のカルロス・アルベルト・パレイラ代表監督から、W杯を戦う一員としてセレソンに招集されたのだ。

 1994年のアメリカ大会、ブラジルはすでに24年間、世界タイトルから遠ざかっており、代表チームは大きな重圧を背負っていた。セレソンは優勝しなければいけなかった。それには強固なDFが必要だった。そこで彼が選んだのがテレ・サンターナ同様、ロナウダンだった。

 この時のメンバーはそうそうたる顔ぶれだった。ロマーリオ、ベベット、ドゥンガ、ライー、カフー、クラウディオ・タファレル、ジョルジーニョ、ブランコ、アウダイール......。そのすべてがヨーロッパかブラジルのクラブチームでプレーしていた選手だった。しかし、ロナウダンだけはこの時、ブラジルでもヨーロッパでもないチームでプレーしていた。清水エスパルスだ。この時のブラジルが世界を征したのは、皆さんもよくご存じだろう。いまだにヨーロッパと南米以外のチームに所属してW杯で優勝した選手はいない。

 彼自身もこう言っている。

「W杯で日本のクラブの選手を代表して戦い優勝できたことに、私は誇りを感じている」

 日本サッカーはまだ世界レベルに達していないと思われていた1994年の話である。

「もちろん、自分のためにも嬉しかったが、同時に日本サッカーのためにも嬉しい勝利だった。日本のチームでプレーしている選手も、セレソンでプレーでき、W杯でも優勝できる。つまり、Jリーグは本物で、強くて、リスペクトされるべきリーグであることを証明してみせることができたんだ」