青山敏弘「うちの若いの、すごいでしょ」。若手を称賛も道を譲る気なし (3ページ目)
柏戦でも、途中からピッチに立った東に積極的に声をかける姿が印象的だった。年齢や立場を考えれば当然の役割ではあるが、まるで求道者のように自己研磨を積み、ストイックなまでに自分に向き合っていたひと昔前では想像もできない振舞いである。
一方で、簡単に若手に道を譲る気はないだろう。自身もプロ入り2年間は、大ケガもありピッチに立てない悔しさを味わってきた。試合に出られないその期間の努力は筆舌に尽くしがたいものがある。
だからこそ、青山は今の立場を勝ち取れたのだろう。プロ3年目、20歳の時にミハイロ・ペトロヴィッチ監督に才能を見出されて以降、広島の主軸を担い、3度の優勝を経験し、ワールドカップ戦士にもなった。その経験値は青山だけでなく、ポテンシャルを秘めた若手が揃う広島にとっての財産だろう。
そういえば以前、一度だけ、引退について聞いたことがある。すると青山は、こう返してきた。
「だいぶ先であってほしいですね」
どうやら、辞めることなど考えていないようだ。円熟味を増した広島のバンディエラは、これからも紫のユニフォームを身にまとい、ピッチを走り続けるだろう。
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