2020.09.22

解消されない仙台の戦術的不備。
名GKの美技が泣いている

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yishiyuki
  • photo by KYODO

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 9月20日、味の素スタジアム。J1ベガルタ仙台は、敵地でFC東京に1-0で敗れている。これで引き分けひとつを挟み5連敗。リーグ戦が折り返したところで17位に沈み、泥沼から抜け出せない。はたして、仙台は這い上がれるのか――。

FC東京に競り負け、肩を落とす関口訓充(右端)らベガルタ仙台イレブン FC東京戦で仙台は、今シーズン初めての3バックを採用した(これまでは4-4-2、4-3-3)。3-4-2-1に近いイメージなのだろうが、実質的には5-2-3だった。FC東京の勢いに押され、バックラインがずるずると下がってしまう。前線が孤立し、中盤にスペースが広がり、ペースを与えることになった。戦線がだらりと伸びた形になって、満足にボールがつながらず、長いボールを蹴っては明け渡していた。

「最初の15分の入り方が大事」

 それがFC東京陣営の合言葉だったという。事実、彼らは強度の高いプレスで押し込み、仙台に攻め手を与えていない。戦略だけでなく、技術的にも、士気の高さでも上回った。

 そして13分、仙台は敵陣に入りながら、バックパスをかっさらわれ、そのままカウンターを発動されてしまう。シマオ・マテが必死に敵選手を潰すが、クイックリスタートで一気にラインを破られる。そして三田啓貴がGKと1対1となり、なす術はなかった。

 結局、この1点が勝負を分けた。そして両者の差を象徴するシーンでもあった。チームとしての練度、集中力の高さ、勝負に対する抜け目のなさなどが集約されていた。

 仙台にとって深刻なのは、戦いの中で不具合を自ら修正できなかった点だろう。前線とバックラインは間延びしたまま、中盤は数的不利にさらされ続け、無理して入れた縦パスはインターセプトを狙われた。

「ワイドにボールを入れる」

 仙台はそれを攻撃のお題目に掲げていたが、中盤が数的不利でテンポが作れず、サイドが空くはずはない。シャドーに入った関口訓充が奮闘し、ボランチの椎橋慧也がラインを破るパスを見せたものの、どれも単発でゴールへの必然性は乏しかった。

 しかし後半10分前後から、仙台は主導権を握っている。リードしている心理と連戦の疲れも出たのか、FC東京がラインを下げたのである。結果的に、仙台は3人の前線が相手ののど元に突き刺すナイフのようになって、そのままチーム全体が差し込むことになった。攻める時間が増え、何度か決定機もつかむ。敵陣でのセットプレーも多く、同点にしていても不思議ではなかった。